
もはや“職人技”とも言われる「競馬実況」…日本ダービー(G1)直前、「名物アナウンサー」によるダービー名実況2選!

競馬に限らずスポーツの名シーンに花を添えるのが「実況」である。競馬でも多くの実況アナウンサーが名実況でレースを彩ってくれた。
競馬実況は長くてもせいぜい3分程度。その中でほぼ全頭の名前を読み上げて展開を伝える競馬実況は、スポーツ実況の中でも最も難しいものの一つとされている。
しかも日本ダービー(G1)や有馬記念(G1)ともなれば、多くの国民がテレビに釘付けとなり、実況に耳を傾ける。その状況下で実況をするそのプレッシャーは想像に難くないだろう。
まさに職人技とも言える競馬実況だが、中でも「競馬の名実況アナウンサーと言えば?」という質問に対しては『フジテレビ』の三宅正治アナウンサーを挙げる人も多いのではないだろうか。
三宅正治アナウンサーとは?
三宅氏は現在のところスポーツ実況の第一線から退いているものの、これまで競馬以外にも多くのスポーツ実況を担当し名ゼリフを残している。ちなみにフジテレビへの志望動機の一つが「日本ダービーの実況がしたいから」というのがまた凄い。
「日本ダービーを実況したい」という夢は入社12年目の1996年に達成され、以降2004年まで(2002年を除く)担当することになった。なお有馬記念の実況も2005年から2011年まで担当している。
日本ダービー直前という事もあり、今回は三宅アナウンサーが念願のダービー初実況となった1996年と、2000年の日本ダービーでの名実況を取り上げたい。
1996年日本ダービー(優勝馬フサイチコンコルド)
このレースは最後の直線で1番人気ダンスインザダークが抜け出し勝ったようにも思えたが、ゴール手前で外からフサイチコンコルドが差を詰め、クビ差でダービー制覇を果たした。鞍上の藤田伸二騎手、馬主の関口房朗氏ともにダービー初制覇であった。
この時、三宅アナがゴール前で残したフレーズが「コンコルドだ!コンコルドだ、外から音速の末脚が炸裂する!フサイチコンコルドー!!」というもの。さらにその後「今、ひとつの競馬の常識が覆された!フサイチコンコルド、なんとわずか3戦目でダービー制覇!今、大きな音を立てて競馬界を支配していた常識が崩れ落ちます」と続いたのだ。
ネット上の一部ファンの間では、この年のダービーはレースそのものよりも、この実況についての話題が目立つ程にもなっている。
2000年日本ダービー(優勝馬アグネスフライト)
もう一つは2000年という節目の年に行われた日本ダービー。優勝した3番人気のアグネスフライトの鞍上は河内洋元騎手(現調教師)で、これまでも数多くの名馬に跨りながらもダービーは16戦未勝利。一方、1番人気に支持されたエアシャカールの鞍上は武豊騎手で前人未到のダービー3連覇のかかるレースとなった。河内元騎手は自身の年齢などから「ダービーで優勝するならこれが最後のチャンス」と考えていたようだ。
レースは残り50mでアグネスフライトが、先頭に立ったエアシャカールを外から並びかけることに成功する。そこでエアシャカールが外によれて来て、アグネスフライトは不利を受けたが負けずに伸び、ほとんど2頭並んだまま大接戦のゴールとなった。
この時に出た三宅氏の名実況が「河内の夢か、豊の意地か、どっちだぁ!エアシャカールか、アグネスフライトか!豊のV3か、河内洋、悲願のダービー制覇か!」といったものであった。
そしてゴール後「エアシャカールか、アグネスフライトか!」と三宅アナウンサーが叫んだ直後、この実況が届いたかのようにガッツポーズを見せ勝利を確信していたのは河内元騎手であり、その確信通り悲願のダービー初制覇となった。
競馬には1頭の馬に多くの人間が携わっており、いろんな方向からドラマを見ることができる。そのうちの1人が騎手ある。わずか十数秒の実況の中で馬の速さだけではなく、騎手の想いも凝縮して伝えた深い内容の実況であった。
今年も5月26日に日本ダービーが行われる。どのようなレースが繰り広げられ、名実況が生まれるのか。レース結果のみならず楽しみにしたい。
PICK UP
Ranking
11:30更新キタサンブラックは「本当に落鉄していた」のか? 決定的な「証拠写真」と共に3つのメディアが示した見解と真相
成績低下のM.デムーロ、三浦皇成に「不穏」な噂…腕だけなく馬質も重要な騎手業、彼らが不満を隠せなかった「決定的な理由」とは
JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- JRA福永祐一が語ったM.デムーロ「致命的トラウマ」。オークス(G1)1番人気サークルオブライフ12着大敗に「これがあるから軸にできない」
- 横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- JRA・M.デムーロ「新築豪邸欠陥トラブル」? オークス勝利も屋上プールの水漏れが深刻。修理資金はダービーで稼ぐ?
関連記事
武豊「幸四郎みたいな感じ」シュガークンにブラックジョーク!? レジェンドの“全弟”が騎手として「兄を圧倒」した意外性
【日本ダービー】皐月賞馬ジャスティンミラノが不動の本命!「ダービーはとにかく皐月賞上位馬を狙え」コスモキュランダ軽視に旨味【東大式必勝馬券予想】
【日本ダービー】戸崎圭太「今年は俺だったのになぁ」も12番人気の激走に戴冠スルリ…。C.ルメール騎乗停止と出遅れで歯車狂った大本命馬。「うれしいのと悲しいのと……」調教師すら苦笑いした200万馬券!
岩田康誠「男泣き」の日本ダービー制覇から12年。3度目の正直、息子・岩田望来が意外な形で掴んだダービー切符
【日本ダービー(G1)展望】無敗ジャスティンミラノに死角なし!? 2着2回の戸崎圭太は10度目の挑戦で戴冠なるか