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宝塚記念(G1)ベラジオオペラが武豊×ドウデュース「1強」に待った!「チーム・ベラジオ」が成し遂げた快挙と、陣営ならではのホンネ【特別インタビュー】

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森川社長
今年の大阪杯優勝レイと共に『ベラジオちゃんねる』でお馴染みの森川社長が登場!

 この春、「夢」を掴んだ者たちがいた。

 JRA初勝利、特別戦初勝利、重賞初勝利、そしてG1初勝利……これらはすべて1頭の馬によって成し遂げられたものだ。地元を愛し、地元の園田競馬で馬を走らせていたオーナーが、少しだけ背伸びをして毎年1頭だけ走らせていたのが、日本競馬界の最高峰となる中央競馬だ。

 だが、1頭の超大物の出現により、憧れは日常へと変わった。すべてのベラジオ関係者の夢を乗せて駆けるベラジオオペラはドラマのようなサクセスストーリーを進み、ついにこの春の大阪杯(G1)を制覇。ホースマンの誰もが憧れるG1馬が誕生した。

「ベラジオオペラが、すべてを変えてくれた――」

 そう語るのは、ベラジオコーポレーション株式会社の森川社長だ。YouTube『ベラジオちゃんねる』を通じて、およそ一企業の社長とは思えないほど精力的に動き回っているキャラクターは、今や全国の競馬ファンにとってもすっかりお馴染みだろう。

「実は、今回が一番緊張しています。まさか、こんな馬になるとは夢にも思わなかったですし……」

 途方もない夢の途中にいる森川社長ら「チーム・ベラジオ」だが、夢を現実に変えたベラジオオペラの歩みはまだまだ止まらない。次の目標は6月23日のグランプリ宝塚記念(G1)だ。ファン投票でも第3位に支持された有力候補の「キーマン」を直撃した。

 

馬主と調教師と騎手が一体になって掴んだ大阪杯制覇

――まずは、大阪杯の優勝、おめでとうございます!

森川社長:ありがとうございますー!

――ベラジオオペラについては、これまで何度も取材をさせていただいていたので、私としてもゴール前は痺れるものがありました。

森川社長:すごかったですね。ゴール前でローシャムパークが外から来たときに「差される」って思ったんですけど、そこからオペラがもう一回伸びたらしいんですよ。「抜かさせん!」って思ったかのようにね。

クビ差で掴んだ栄冠。大阪杯「大接戦」の記憶は一生の宝物に
クビ差で掴んだ栄冠。大阪杯「大接戦」の記憶は一生の宝物に

――大接戦だった日本ダービー(G1、タイム差なしの4着)もそうだったのですが、ベラジオオペラは最後の勝負根性が凄いですね。

森川社長:ダービーの時も、大阪杯も上村(洋行)先生が極限の仕上げをやってくれはったんやと思います。それにオペラが応えたというかね。

――大阪杯の勝利は上村先生、チャンピオンヒルズの大西厩舎長も含められた「チーム・ベラジオ」の長期的な戦略の実った結果だと思います。デビュー当初から「本当に良くなるのは古馬になってから」と言われていたベラジオオペラに無理をさせず、じっくりと成長を促しながら待った結果が今に繋がっているのかなと。

森川社長:それは間違いないですね。上村先生は本当なら、去年の皐月賞(G1)も使いたくないって言ってたくらいですから。「藤沢和雄(元調教師、通算1570勝は歴代2位)先生なら使ってない」って。

――馬をじっくり大事に育てるという方針は、上村厩舎全体から強く感じます(3着以内率44.5%は、6日現在で第2位)。特に日本ダービーの後、菊花賞(G1)をパスして12月のチャレンジC(G3)までしっかり休養しました。

森川社長:最初は僕らもね「使わないと赤字になるじゃないですか」って思ってたんですけど、馬主をやらせてもらって数年になり、最近になってわかってきたんですよ。「馬はね、大事にじっくり行った方がいいよ」って。

「馬は、大事にじっくり行った方がいい」“上村流”が大躍進の秘訣
「馬は、大事にじっくり行った方がいい」“上村流”が大躍進の秘訣

――確かに近年活躍している馬の多くは、あまり多くのレースに出ないというか、1戦1戦しっかり仕上げられている印象があります。

森川社長:僕らは大阪・兵庫が地元っていうこともあって、園田競馬で馬を走らせてるんですけど、地方ではどんどん使う馬もいるんですよ。でも、仮にそこで勝利したとしても続かないですね。成長がビタッと止まるんです。そんなのをよく見てきたので「それやったら、パフォーマンスが一番出せる状態の時に使おう」っていうのが、僕らも上村先生も一致したんで、今はもう「先生のお好きにどうぞ」ってお任せしてます(笑)。

ベラジオオペラは「もう一段階、強くなれる」

――信頼関係というか、絆の深さが「チーム・ベラジオ」の大きな強みですね。

森川社長:上村先生は元ジョッキーじゃないですか。だからオペラの調教もずっと乗ってはるんですよ。ウチの馬が不甲斐ないレースをしたら「次、僕乗りますわ!」って(笑)。それくらい、乗ることにこだわりが強い方ですね。

――なんか想像できてしまいます(笑)。

森川社長:だから今回の宝塚記念に向けても、めちゃめちゃ乗られてますね。自分で乗るのが一番(馬の状態などについて)わかるんでしょうね。

――今日(6日)は宝塚記念の人気投票の最終発表がありました。ベラジオオペラは見事3位。ドゥレッツァやソールオリエンス、タスティエーラといった同世代のクラシックホースよりも票が集まりました。

森川社長:おこがましいことです。今年の4歳世代はあまり強くないって言われてますので、オペラと一緒に頑張ってほしいと思ってます。

――阪神競馬場がリフレッシュ工事に入っているので、今年は京都での開催となります。京都・芝2200mと言えば、2月の京都記念(G2)で2着に敗れています。

森川社長:今やから言えますけど、上村先生は全然気にしてなかったですね。ある程度は仕上がってましたけど、やっぱり目標は大阪杯にあって。いつも仕上げに自信持ってる方なんですけど「先生、勝ちますよね? いけますよね?」って聞いたら「いや、前哨戦なんで……」って。「どういうことですか」って(笑)。

「先生、勝ちますよね?」「いや、前哨戦なんで…」「どういうことですか(笑)」
「先生、勝ちますよね?」「いや、前哨戦なんで…」「どういうことですか(笑)」

――(一同爆笑)。今回の宝塚記念はまさに本番ですし、100%のベラジオオペラの走りが見られそうですね。

森川社長:先生も「前走と同じくらいにある」とおっしゃられてました。大阪杯からチャンピオンヒルズの大西厩舎長の元に戻して、入念にケアしてもらって。ここでまた馬体も膨らませて、当然育成で鍛錬も積んで。万全で上村先生にバトンタッチしてるんで、そしてまたあれじゃないですか? 自ら乗ってバチバチ行くでって(笑)。

――楽しみですね(笑)。今回は大阪杯よりもさらにメンバーが強くなります。最大のライバルは、やはり武豊騎手とドウデュースでしょうか?

森川社長:有馬記念(G1)が強かったですからね。初対戦になりますけど、こっちは胸を借りるつもりですよ。ジャスティンパレスとか、他にも強い馬はいますし。ただ、上村厩舎にはお兄さん(上村典久さん)もいらっしゃるんですけど、オペラは「もう一段階、強くなれる」って言いはるんですよ。

――上村調教師のお兄さんは、藤原英昭厩舎や角居勝彦厩舎で(重賞を勝った)シャケトラやエアウィンザーなども担当されていた方ですね。すでにG1馬になったベラジオオペラですが「まだ強くなる」と。

森川社長:元々奥手って言われてたんですけど、今でも「まだ緩い」って言われますね。本当に完成されるのは、おそらく4 歳の秋以降って言われてます。

ベラジオオペラがすべてを変えてくれた

――それは楽しみですね! ベラジオオペラはすでに現役でもトップクラスの馬ですし、秋以降は日本だけでなく、海外遠征も選択肢に入ってくると思います。宝塚記念には一時、安田記念(G1)を勝った香港のロマンチックウォリアーも出走を視野に入れていたそうですが、残念ながら見送りとなってしまいました。

森川社長:一ファンとしては楽しみにしてたんですけど、個人的には(当たらなくて)助かったなって思ってますよ(笑)。2000mのG1を沢山勝ってますし、安田記念はめちゃくちゃ強かったですから。

――やはり馬主サイドというか“当事者”になると話は変わってくる?

森川社長:本音は(笑)。イクイノックスも(昨年末に引退)、あの馬にはちょっと勝てないでしょうから。でも、ドウデュースもジャスティンパレスも、ローシャムパークも他の馬も強い馬ばっかりなんで。

ドウデュースらライバルは強い。立場は挑戦者、今回も胸を借りるつもりで
ドウデュースらライバルは強い。立場は挑戦者、今回も胸を借りるつもりで

――強敵がたくさんいる分、勝てばそれだけ名誉なことでもあります。もし大阪杯と宝塚記念を連勝すれば、秋の天皇賞(G1)では日本代表として、それこそロマンチックウォリアーと対決ということも。

森川社長:それはちょっと鳥肌たちますね。でも、その前に宝塚記念を全力でね。もし勝つことができれば、種牡馬の道も大きく開けますし。ベラジオオペラがすべてを変えてくれたっていうか、ウチの店でパチンコ打ってくださっているお客様も、みんな知ってくれて、応援してくれています。

――パチンコファンには、競馬ファンも多いですからね。

森川社長:ウチの店にはテレビもあるんですけど、僕らの馬が出走するときは、みんな出てきて応援してくれるんですよ。それが嬉しいし、めっちゃおもしろい。まあ、お客様には「レース観戦よりも、パチンコ打ってください」って思うんですけど(笑)。

――ある意味、競馬もライバルですもんね(笑)。宝塚記念はG1馬として迎える初のレースになります。

森川社長:実は、今回が一番緊張しています。まさか、これほどの馬になるとは夢にも思わなかったですし、大阪杯を勝ったことでまた一段と注目されるようになりました。

――ベラジオオペラの勝負根性は凄いですし、また接戦になれば楽しみが膨らみますね。

森川社長:こちら側は心臓に悪いですけどね(笑)。なんとか宝塚記念を勝ってもらって、その賞金でまた(7月の)セレクトセールに行こうと思っているんですよ(笑)。

――絵に描いたような自転車操業!(笑)。

森川社長:まあ、それは冗談で元から行く予定ですけど(笑)。でもやっぱり頑張ってほしいですね。G1馬になりましたけど、チャレンジャーの気持ちで行きたいと思ってます。

――応援しています。『ベラジオちゃんねる』の方も楽しみにしてます!

森川社長:ありがとうございます。頑張ります!

『ベラジオちゃんねる』でお馴染みのえいちゃんにも登場していただきました!
『ベラジオちゃんねる』でお馴染みのえいちゃんにも登場していただきました!

ベラジオオペラを筆頭に「ベラジオ軍団」の情報満載!YouTube『ベラジオちゃんねる』はコチラ。

(インタビュー・構成=浅井宗次郎)

浅井宗次郎

浅井宗次郎

1980年生まれ。大手スポーツ新聞社勤務を経て、フリーライターとして独立。コパノのDr.コパ、ニシノ・セイウンの西山茂行氏、DMMバヌーシーの野本巧事業統括、パチンコライターの木村魚拓、シンガーソングライターの桃井はるこ、Mリーガーの多井隆晴、萩原聖人、二階堂亜樹、佐々木寿人など競馬・麻雀を中心に著名人のインタビュー多数。おもな編集著書「全速力 多井隆晴(サイゾー出版)」(敬称略)

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