【RTDリーグ2018石橋伸洋インタビュー】惨敗の過去2年「黒いデジタル」は何故「猫」だったのか? 代名詞・国士無双「放銃上等」驚きの戦略とは
――昨シーズンは2度の役満・国士無双の放銃があった。
石橋:痛かったです(笑)。だけど、そこが直接の敗因ではないですね。どちらかというと、それを取り戻そうと焦ったメンタル的な部分が大きかった。それに実は、あの国士無双の放銃自体は、それほど後悔もしていないんですよね。
――国士無双の放銃に後悔はない。
石橋:相手が国士無双狙いの時って、基本的には「降りたら損」と考えています。フラットな局面で相手が国士気配だったとしても、それで毎回降りていると助かる時もありますけど、トータル的には損なんですよね。例えば誰かのリーチに国士気配で向かってくるとか、本当に危ない場面では当然ケアしますけど、基本的には「気にせずに無視して、あがりに行った方が得になる」ことが多いんです。
昨シーズンはたまたま最悪の結果が続いてしまいましたけど、僕的にはそこまで後悔していないですね。どちらの国士もまた同じ場面が来たら、同じように放銃すると思います。twitterのフォロワーも、それで1000人くらい増えましたし(笑)。ただ、もう放銃してもそれほど面白くもないと思うので、放銃したくないですけどね。
――そもそも何故、持ち前のスピードを殺してまで打点派の麻雀を取り入れようとしたのか。
石橋:僕は7年前の第36期に「最高位」のタイトルを獲ったんですけど、その際に大きく影響を受けていたのが、当時「最高位」を何度も獲られていた古久根英孝さんだったんです。流れ重視のオカルト全盛の時代には珍しく理論的な方で、麻雀が強いのはもちろんですけど、教え方も上手くて僕も「古久根さんの麻雀を真似したいな」と思って。
それで思い切って雀風を変えました。自分の基礎はネット麻雀なんですけど、それに古久根さんの麻雀を上手く融合させたことで、結果的に最高位を獲れたんです。
ただ、翌年に負けてしまって……。ちょうど5年くらい前だったんですけど、それで打点派の麻雀を本格的に研究し始めたんです。当時はスピード派の時代から、村上や達也のような打点派が注目されていて、僕も「最高位」を獲った麻雀から、さらに進化を求めて打点寄りにシフトしました。
ここ2年の『RTDリーグ』にも、そのスタイルで挑んだんですね。完成度にまだ問題があってリスクはありましたけど、正直「それでも勝てる」と思ってたんです。
――打点寄りの麻雀は、石橋さんに合わなかった。
石橋:僕の本来の麻雀が、早い上がりを求めるスピードタイプなので、決着の早い麻雀は経験もあって自信もあったんですね。だけど打点を求めると、どうしても決着が遅くなるじゃないですか。そうなると、終盤での押し引き判断の経験が足りなくて……そこに甘さがあったんだと思います。それを自分の中で確認できたのが、ここ2年間の『RTDリーグ』の結果でした。