JRAチューリップ賞(G2)武豊の「サプライズ」再び!? 豪脚2頭を完封した9年前の「神騎乗」が蘇るか

 まだG3時代だった9年前のチューリップ賞(G2)。

 この日まさに「独壇場」となる快勝を演じたのは、武豊騎手とクロフネサプライズのコンビだった。

 チューリップ賞(G2)武豊ウォーターナビレラ「最大の脅威」は横山一家か

 戦前の予想では、前走の紅梅S(OP)で重馬場ながらも豪快な差し切り勝ちを決めたレッドオーヴァルと前年の阪神JF(G1)を制したローブティサージュの二強による一騎打ちムード。

 ゲートが開き、抜群のスタートを切ったクロフネサプライズは、押し出されるように先頭に立つ。前半3ハロン35秒9の超スローペースのなか、道中も単騎で気分良く逃げ、絶好の手応えのまま、最後の直線を迎えた。

 後続が必死に追いかけるが、「直線でもバテる感じはありませんでした」と鞍上がレース後に振り返った通り、余力が残っていたクロフネサプライズは、再び後ろを突き放す脚をみせる。

 結局ゴールまで脚色は衰えることなく、2着に3馬身半差をつける堂々たる逃げ切り勝ちを決めた。人気の2頭は武豊騎手が作り出した巧みなスローペースに翻弄され、自慢の末脚はともに不発。両馬ともに馬券圏外に消える波乱の決着となった。

 前走の阪神JFでは、先行馬総崩れのハイペースのなか、道中3番手から唯一前目で2着に粘っていたクロフネサプライズ。チューリップ賞では、全く真逆のスローペースを自ら作り出し、有力馬を封じる完璧なレース内容だった。

 昨年もメイケイエールで勝利している武豊騎手は、過去にも06年のアドマイヤキッス、13年のクロフネサプライズと通算3勝をあげた相性のいいレースでもある。

 そして、5日に阪神競馬場で行われる今年のチューリップ賞には、ウォーターナビレラ(牝3、栗東・武幸四郎厩舎)とのコンビで出走を予定している。

武豊騎手のウォーターナビレラ

ウォーターナビレラ 撮影:Ruriko.I

 本馬はデビュー戦から高いレースセンスを発揮し、3戦3勝の無敗でファンタジーS(G3)を制した逸材だ。初のG1挑戦となった昨年暮れの阪神JFでは3着に好走し、ここまで世代トップクラスの実力を誇示してきた。

「前走の阪神JFはペースが流れるなか、道中3番手の前目でレースを進め、最後の直線でも辛抱して3着を死守した点は、地力の高さといえるでしょう。今回人気を集めそうなのは、その前走の勝ち馬であるサークルオブライフと1番人気で4着に敗れたナミュールで、ともに鋭い末脚を武器にしています。

しかし、チューリップ賞は例年ペースが落ち着きやすく、阪神JFとは真逆の展開になる事もしばしば。スローペースを前目で上手く捌けば、後続を完封できるチャンスは十分にあり得ますよ」(競馬誌ライター)

 1週前に好時計の追い切りを消化しているため、当週の最終追いでは単走で軽めの内容ではあったが、管理する武幸調教師も「順調にきたし、もうできているので今週はこれで十分」と、すでに態勢は整っているようだ。

 9年前に武豊騎手が手綱を取ったクロフネサプライズも、まさに今回のウォーターナビレラと同じような立場にあった。強烈な末脚を持つライバル2頭を尻目に、再び「サプライズ」な逃げ切り勝ちを見せることが出来るか。鞍上の手綱捌きに注目だ。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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