ウォーターナビレラ敗戦に武豊VS安藤勝己「見解不一致」!?

ウォーターナビレラ 撮影:Ruriko.I

「距離なのか。思い当たるところがないです」

 これは先週日曜のクイーンS(G3)直後に武豊騎手が残したコメントだ。言及したのはもちろんパートナーのウォーターナビレラ(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)についてである。

 このレースで初めて古馬と対戦したウォーターナビレラ。桜花賞(G1)2着の実績に加え、52kgの軽い斤量もあって、やや抜けた1番人気に推されていた。

 レースはウォーターナビレラにとってまさに理想的な展開。前半3ハロン37秒3のスローペースを好位の外で立ち回り、4角を2番手で迎えた。あとは逃げたローザノワールを交わすだけかと思われたが、直線で伸びを欠き、よもやの10着に沈んだ。

 予想外の凡走に武騎手は首をひねりつつも、「距離」というキーワードを敗因の一つとして絞り出した。一方で、同騎手とやや違う見解を示した人物がいる。

武豊VS安藤勝己「見解不一致」!?

「ちょっと成長力に欠けるのかもしれない」

 レース後、自身のTwitterにそう記したのは競馬界のご意見番としてもお馴染み、中央と地方で通算4464勝を挙げた元JRA騎手の安藤勝己氏だ。

 安藤氏は「パドック良く見せて、位置取りも理想的。ローザノワールの粘りを思えば不可解な惨敗やね」とウォーターナビレラに言及。ほぼ完璧なレース運びをしたにもかかわらず、直線で失速する姿を見た安藤氏は「成長力」にいささか疑問を覚えたようだ。

「やんわりと表現していますが、つまりウォーターナビレラは早熟かもしれないと……。2歳夏にデビューし、無傷の3連勝を飾るなど、早い時期から世代トップクラスの実力を示してきました。完璧な仕上げで臨んだ桜花賞こそ2着したものの、オークス(G1)13着に続き、クイーンSでも馬群に沈みました。データ的にもウォーターナビレラが早熟の可能性は否定できません」(競馬誌ライター)

 実は、ウォーターナビレラの父シルバーステート産駒は相対的に早熟の傾向があるようだ。

 種牡馬として大人気のシルバーステート。現役時代はケガに悩まされ、重賞に出走すらかなわず引退するなど、競走馬としては大成できなかった。

 そんなシルバーステートの初年度代表産駒がウォーターナビレラ。同馬を含めて先週末時点で92頭がJRAでデビューし、うち25頭が勝ち上がっているが、2歳時に比べ、3歳になってからの成績は芳しくない。

 初年度産駒が2歳時にマークした勝率は10.5%だった。ところが、3歳になってからはこれが5.4%に激減。特に牝馬は早熟傾向が顕著で、4月24日にテイエムオードリーが勝ったのを最後にシルバーステートの初年度牝駒は71連敗中という泥沼である。

 6月にデビューした2年目産駒にあたる現2歳世代も仕上がりは早く、これまで15頭中4頭が勝ち上がるなど、17.4%という高い勝率を誇っている。

 クイーンS凡走で浮上した父の早熟説。それを払拭できるのは他でもないウォーターナビレラしかいない。次走は秋華賞(G1)に向かうのか、マイル路線に切り替えるのか。いずれにしても、再び凡走するようなら父の早熟説に拍車がかかるのは間違いないだろう。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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