菊花賞(G1)ガイアフォースに「状態不安」の恐れ!? 前哨戦快勝も過信禁物のワケ

松山弘平騎手 撮影:Ruriko.I

「動きは素軽く、リズムも良かったですし、いい最終追い切りができたのではないかと思います」

 19日に行われた菊花賞(G1)の共同会見で、ガイアフォース(牡3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)の最終追い切りで感触を確かめた松山弘平騎手はそうコメント。デビューから手綱を取る愛馬ともに臨むクラシック最終戦へ自信をのぞかせた。

 前走のセントライト記念(G2)で日本ダービー(G1)3着馬のアスクビクターモアをねじ伏せ、最高の形で菊花賞へと駒を進めたガイアフォース。21日午後現在、『netkeiba.com』の予想オッズでは単勝2倍台の1番人気となっており、おそらく当日も上位人気が予想される。

 さらに20日に発表された枠順は1枠1番。インで脚を溜めて、距離のロスなく運べそうな絶好枠をゲットし、追い風が吹いている。ただし、この枠順は諸刃の剣になる可能性もありそうだ。

「今年の菊花賞は明確な逃げ馬が不在。もちろん全馬にとって初めての距離となるので、かなりのスローペースになることが予想されます。おそらく馬群は凝縮して一団になるのではないでしょうか。

そうなると、インで脚を溜めることができても、勝負どころの3~4角から直線にかけて、判断を誤ると進路の確保がスムーズにできない可能性も出てきます。一見、絶好枠に見えますが、鞍上の松山騎手がうまく捌けるかどうかにかかってくると見ています」(競馬誌ライター)

 また、前走の勝ちっぷりから、今回はマークされる立場になるのは間違いない。実際に、前走で接戦を演じたアスクビクターモアの田村康仁師も「前回は(ガイアフォースから)見られる立場だったけど、(今回はガイアフォースを)見ながら行けるのはいい」と、『サンケイスポーツ』の取材にコメント。ガイアフォースは、アスクビクターモアを筆頭にライバル勢から徹底マークを受けてのレースとなりそうだ。

ガイアフォースに「状態不安」の恐れ!?

 そしてもう1つ、ガイアフォースに浮上したのが状態不安説だ。

 最終追い切りを終え、共同会見に臨んだ杉山師は「前走は、今までで一番本気で走ったようで、多少疲れはありました」と、前走後にガイアフォースは疲れを見せたことを認めた。1週間ほどの短期放牧で「その疲れも取れて(栗東に)戻ってきてくれた」ともフォローしたが、1週前追い切りの全体時計はセントライト記念の時より1秒以上も遅く、前走以上の状態にあるかは疑問が残る。

 また、状態不安説を裏付けるような数字も20日、JRAから発表された。それがG1全レースで公開されている調教後の馬体重だ。

 前走に比べて10kgほどプラスという馬が多かった中、ただ1頭前走時から馬体重を減らしていたのがガイアフォースである。しかも前走比「-10kg」という二桁減だったことに不安を覚えたファンも少なくないだろう。

 486kgでデビューしたガイアフォースは、これまで一度も馬体を減らすことなくレースを走ってきた。5戦目となった前走は、レコード勝ちした2走前の反動もなく、498kgで過去最高馬体重を更新。馬体にも若干余裕があるように見えたほど。ただし、さすがに菊花賞の4日前の時点で「‐10kg」は、陣営にとっても想定外だったのではないだろうか。

 ちなみに過去35年(1987年~2021年)の菊花賞で、レース当日に「‐10kg」以上で出走した馬は、昨年のステラヴェローチェ(2番人気4着)を含めて「0-0-0-21」と、一度も馬券に絡んでいない。

 もし馬体を維持するという目的による手加減があったのなら、セントライト記念時に比べて、中間の追い切り時計がやや平凡なのも頷けるところだ。

 これよりさらに馬体重が減っているようなら、一気に危険な人気馬となってしまうかもしれないだけに、レース当日のパドックで最終チェックを忘れずにしておきたい。

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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