
関東のトップ厩舎に囁かれる「不協和音」の噂…懇意のベテランで重賞を連勝、川田将雅の勝率すら超えた実力派調教師の大躍進

夏の新潟のフィナーレを飾った新潟記念(G3)は、2番人気に支持された3歳馬ノッキングポイント(牡3、美浦・木村哲也厩舎)が優勝。管理する木村調教師はアヴェラーレが制した関屋記念(G3)に続いて新潟の重賞を制覇し、自身の新潟のリーディングに花を添えた。
それにしても木村厩舎が残した成績は圧倒的だったというよりない。
騎手部門のリーディングを獲得した川田将雅騎手が、勝率41.4%で12勝を手にしたことも驚きだが、木村厩舎はこれをさらに上回る勝率47.1%をマーク。勝ち負けの期待が高い馬を厳選して騎乗する川田騎手に対し、厩舎全体での数字である。実際、2位の国枝栄厩舎が4勝で勝率15.4%に過ぎなかったことを思えば、いかに突出しているかが分かる。
また、木村厩舎は同じく新潟2歳S(G3)と新潟記念を勝利した北村宏司騎手とも良好な関係が続いているという。
「北村宏騎手とのコンビで重賞を勝てたので、いつも以上に嬉しそうでしたね。彼には調教を手伝ってもらうことが多く、かつて藤沢和雄元調教師の元で学んだ2人だけに馬が合うみたいです。ただ、近年の負傷や成績低下などもあって、有力馬の騎乗依頼をしにくい状況が続いていました。
木村厩舎の主力はノーザンファームの生産馬のため、北村宏騎手に依頼するのは、主戦のC.ルメール騎手が乗らない馬やノーザン系以外の管理馬が殆んど。懇意にしている木村調教師としては、走る馬をもっと乗せたいという気持ちが強かったと思います」(競馬記者)
そんな折に新潟2歳Sのアスコリピチェーノに続いて、2週連続でノーザンファーム生産馬を重賞制覇に導いた北村宏騎手としては、騎乗馬の馬質向上に向けてこれ以上ないアピールとなった。
先週の開催を終えて木村厩舎は今年28勝となり、トップを快走していた斎藤誠厩舎と並び、初の関東リーディング獲得も見えてきた。出走回数で勝る斎藤厩舎と質で優る木村厩舎とのリーディング争いとなりそうだ。
これに対し、元気がなくなってきたのが国枝厩舎だ。厩舎の期待馬サリエラを新潟記念に送り込んだが、1番人気の支持に応えられず、見せ場を作れないまま7着に敗れた。1週前の挫跖で調整に狂いが生じた影響があったかもしれないが、レース後のコメントでもルメール騎手が「返し馬の時から良い感じではなく、スタートしてもハミを取らず進んでいきませんでした」と首をかしげていた。
凱旋門賞(G1)に登録されたほどの期待馬としては、あまりにも不甲斐ないレースだったといえるだろう。
関東のトップ厩舎に囁かれる「不協和音」の噂…
「管理する国枝調教師は、26勝を挙げて関東リーディング3位につけていますが、今年の重賞勝ちは、サクセッションの新潟ジャンプS(J・G3)のみと物足りない内容。不振の背景には、厩舎の不協和音が影響しているのではないかという噂も聞こえ始めました。
長男と三男が父の元で働いていますが、まだ経験が浅いこともあってか、追い切りや他のスタッフとの連携がうまくいっていないようです。父の定年が控えているため、息子たちは調教師試験を受けていますが、今のところは結果が出ていません。調教師の勉強と両立しながら合格するのは至難の業でしょう」(同)
こういった状況も、調教の質やレベルでトップクラスと言われている木村厩舎と明暗が分かれた理由のひとつかもしれない。
それでも国枝調教師が定年するまでは、ノーザンファームの期待馬に豪華なラインナップが揃っていると話題だ。現1歳のラインナップはアーモンドアイの初仔を筆頭にクラブ馬、個人馬主共に驚くような馬が集まっており、これは師の悲願である牡馬クラシック制覇のために用意されたと考えられている。
しかし、このまま厩舎の立て直しがうまくいかないようだと、国枝師が定年を迎えた後は木村厩舎がノーザンファームの良血馬を一手に引き受ける未来もありそうだ。
厩舎の看板馬イクイノックスが秋に復帰する木村厩舎。実力派調教師の大躍進には、これからも注目しておきたい。
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