J.モレイラ「優秀すぎて」まさかの2着。「もっと大きい重賞レースを勝ってもおかしくない」ナミュールのG1制覇予言と、“代打ホームラン”藤岡康太へ送ったアドバイス

19日、京都競馬場で行われたマイルCS(G1)は、5番人気の紅一点ナミュール(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)が勝利。阪神ジュベナイルF(G1)や桜花賞(G1)で1番人気に支持された大器が、待望のG1タイトルを掴み取った。
豪快な直線一気で、ライバルも“雑音”も飲み込んだ。当初、R.ムーア騎手とのコンビで参戦予定だったナミュールだが、当日にムーア騎手が落馬負傷。急遽、藤岡康太騎手に乗り替わることとなった。
いきなり舞い降りた大きなチャンスにネット上のSNSや掲示板でも藤岡康騎手を応援する声があったものの、お金が賭かった馬券となるとファンはシビアだ。
前日から1桁台をキープしていたナミュールの単勝オッズは、最終的に17.3倍まで急上昇。片や毎年のように世界中のG1を勝ちまくっている騎手と、片や14年間もG1勝利から遠ざかっている騎手では、それも仕方なかったかもしれない。
だが、それだけ注目されていたからこそ「優勝」という最高の結果がより大きくなる。
レース後「プレッシャーもあったので、ホッとした気持ちです」と胸を撫で下ろした藤岡康騎手だが、元JRA騎手の安藤勝己氏がX(旧Twitter)で「康太は落ち着いてたなぁ」とポストした通り、その騎乗は堂々たるもの。
最後の勝負所で上がり3ハロン最速となる33.0秒の末脚を引き出せたのは、スタートが決して良くない中、腹を括って最後の直線に懸けた鞍上の好判断に他ならない。G1どころか、重賞も一昨年の京都大賞典(G2)以来となる久々の勝利になったが、今後はもっと大舞台での出番も増えるはずだ。
その一方で、あと一歩で敗れたソウルラッシュのJ.モレイラ騎手にとっては、なんともホロ苦いレースになってしまった。

「ただ1頭、強いのがいましたね……」
3番人気のソウルラッシュに騎乗したモレイラ騎手は、「直線でスペースができると、素晴らしい伸びを見せてくれました」と振り返った通り、最後の直線から抜け出した際は、誰もがこの馬の新マイル王を予感したはずだ。しかし、残り100mを切ったところでナミュールが外から強襲。最後はクビ差だけ差されて2着となった。
惜しくも2018年のエリザベス女王杯(G1)以来のJRA・G1制覇を逃したモレイラ騎手だが、もしかしたらこの結末は予感していたものかもしれない。
約1か月前の富士S(G2)。このマイルCSの前哨戦で、ナミュールの鞍上を託されたのがモレイラ騎手だった。結果は、持ち前の末脚を爆発させての優勝。昨年3月のチューリップ賞(G2)以来、1着から遠ざかっていた相棒に勝利の味を思い出させる好騎乗だった。
この結果には「今日のフィーリングがとても良かった」とモレイラ騎手も手応え。「これからステップアップして、もっと大きい重賞レースを勝ってもおかしくないと思います」と相棒の今後の飛躍を予想していたが、この時、まさかこういう形で実現するとは思ってもみなかったかもしれない。G2よりも「もっと大きい重賞レース」はG1しかない。
“代打ホームラン”藤岡康太騎手へ送ったアドバイス
「富士Sの直後、高野調教師が『ジョッキーのこともありますからクラブと相談して』と話していた通り、この時点ではナミュールのマイルCS出走、そして鞍上も決まっていませんでした。
富士Sの優勝馬にはマイルCSの優先出走権もあり、順当に行けばそのままモレイラ騎手との参戦が予想されていましたが、ポイントとなったのは今月2日です。
ソウルラッシュの陣営から12月の香港マイル(G1)も含めて『マイルCSでモレイラ騎手が乗る』という発表と、ナミュールが所属するキャロットクラブから『R.ムーア騎手とのコンビでマイルCSに参戦する』ことが発表されたのは同日。お互いの経緯はわかりませんが、結果的にはこの日に、後の明暗が分かれることになりましたね」(競馬記者)
「事前に先生や、前走で騎乗したモレイラ騎手からも話は聞いていたので、いいイメージで乗りました」
レース後、藤岡康騎手がそう感謝を述べた通り、結果的には最大の強敵に塩を“送り過ぎてしまった”モレイラ騎手。騎手としては悔しい2着だが、自身が絶賛した元パートナーへの評価の正しさを証明する形となった。
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