【京都2歳S(G3)展望】凱旋門賞馬の全弟シンエンペラーVS大物候補ギャンブルルーム! 「想像以上に強かった」横山武史も唸る良血馬がデビュー2連勝なるか
25日、京都競馬場ではラジオNIKKEI杯京都2歳S(G3)が行われる。
今年の主役を務めるのは、2020年の凱旋門賞(仏G1)を制したソットサスを兄に持つシンエンペラー(牡2歳、栗東・矢作芳人厩舎)だろう。
父シユーニは欧州で成功を収めている種牡馬だが、日本ではまだ産駒数が少なく重賞級の馬は皆無。これまで14頭がJRAで走り、うち7頭が勝ち上がっているものの、3勝クラスで頭打ち状態のスーサンアッシャーが出世頭という状況だ。
ただし、本馬は横山武史騎手とコンビを組んだ初戦で将来性を感じさせる走りを披露した。
13頭立てで行われた東京芝1800mの2歳新馬戦。シンエンペラーは2番人気に支持されると、絶好のスタートを決めてハナを切る勢い。しかし、無理をせず道中は好位3番手集団のインを追走した。直線を向いてやや窮屈になる場面もあったが、逃げ馬を交わして先頭に立つと、一気に加速。中団~後方から末脚を伸ばしたライバル勢を難なく抑え込んだ。
その脚色は最後まで衰えることなく、最後は2着馬に3馬身差をつける完勝。横山武騎手は「想像以上に強かった」と相棒の走りを絶賛した。ただ「抜け出して左右にフラフラしていた」と、今後に向けての課題も指摘しており、この辺りが解消されれば、非常に楽しみな存在といえるだろう。
血統的にも距離が延びていいタイプで、来年の日本ダービー(G1)、菊花賞(G1)あたりでは有力馬の1頭になっていてもおかしくないはずだ。
2戦1勝のギャンブルルーム(牡2歳、栗東・大久保龍志厩舎)は初戦Vを飾り、2戦目で黒星を喫している。
デビューは6月の阪神芝1800m。松山弘平騎手を背に7頭立ての一戦で4番人気と評価は高くなかったが、後方待機から直線一気の競馬で差し切り勝ちを見せた。
同レースの上がり3ハロンは次点より1秒1も速いメンバー最速の33秒7を叩き出し、最後は2着馬に5馬身差をつける圧勝だった。しかもその一戦で下した6頭のうち4頭がその後に勝ち上がっており、レースレベルも高かった。
夏の暑い時期は放牧で英気を養い、その後に函館に入厩。そして9月の札幌2歳S(G3)で2戦目を迎えた。
大久保調教師の「初戦の走りを見ると洋芝が合いそう」というコメントもあって、レースではガイアメンテに次ぐ2番人気に支持された。ところが好位3番手から勝負所で早めに動いて行ったが、前の2頭を捉えられず。最後は大きく離されての3着に終わった。
鞍上を務めた松山騎手が「今日は馬場適性の差が出た」と話したように稍重の発表ながら、かなりパワーがいる特殊な馬場にも泣かされた印象だ。今回は前走からの巻き返しを図る。
その札幌2歳Sで2着だったのがパワーホール(牡2歳、栗東・昆貢厩舎)である。
札幌での初戦を逃げ切ったスワーヴリチャード産駒が2戦目で見せたのは、2番手からの競馬。逃げ切りを許したセットアップには4馬身離されたが、ギャンブルルームには3馬身半の差をつけた。今回も前々で進めることができれば、粘り込むチャンスは十分にある。
サトノシュトラーセ(牡2歳、栗東・友道康夫厩舎)は、9月の阪神芝2000mでデビュー。スタートで遅れてしまい、道中は中団を追走した。直線で脚を伸ばしたが、ショウナンラプンタの2着に敗れ初戦を落とした。
2戦目は中2週で京都芝2000mの未勝利戦へ。重馬場で行われた5頭立ての一戦で、今度はスタートをしっかり決めると、逃げ馬を見ながら2番手を追走し、直線で早め先頭に立つと、2番人気のワーキングアセットをあっさりと突き放して快勝を収めている。
鞍上の川田将雅騎手は「返し馬で成長が感じられましたし、レース内容も良くなりましたね」と初戦から大きな変わり身を感じ取った様子。僅か3週間で急成長を遂げたことになる。
前走後は短期放牧を挟み、中5週で3戦目を迎えるが、今回と同じコースで勝利しているのは大きな強みとなりそう。引き続き川田騎手とのコンビでクラシック候補に名乗りを上げられるか。
ホウオウプロサンゲ(牡2歳、栗東・ 矢作芳人厩舎)は、2021年の当歳セレクトセールで4億5100万円(税込)の高値を付けた期待の1頭。2戦目で勝ち上がり、3戦目の前走アイビーS(L)では2着に逃げ粘った。
半兄は2019年の牡馬クラシック戦線を沸かせたヴェロックスだが、同馬は結局、重賞には手が届かないまま引退した。兄の無念を晴らせるか。
この他には、2015年のジャパンC(G1)を制したショウナンパンドラを姉に持つオールナット(牡2歳、栗東・高野友和厩舎)、今年の皐月賞3着馬、ファントムシーフの半弟で、2戦目で変わり身を見せたディスペランツァ(牡2歳、栗東・吉岡辰弥厩舎)、阪神芝2000mのデビュー戦を逃げ切ったカズゴルティス(牡2歳、栗東・杉山晴紀厩舎)などが重賞タイトルを目指す。
また、かつてエピファネイアとヴィクトワールピサがここを勝って、クラシックホースに上り詰めるなど、後の活躍馬も輩出した当レース。ところが2014年にG3に格付けされて以降の過去9年は勝ち馬が、その後のG1で「0-0-0-30」と全く振るわない。
一方で、2着以下に敗れた馬の中からは、シュヴァルグラン(3着)、タイムフライヤー(2着)、ワールドプレミア(3着)の3頭が後にG1を勝ち、ライラック(8着)とトップナイフ(2着)がG1で2着に好走している。京都2歳Sは、“程よく負ける”のが出世の近道といえるのかもしれない。
凱旋門賞馬の全弟が2戦目で更なる進化を果たすのか。それとも他の良血馬が重賞制覇を遂げるのか。注目の京都2歳Sは25日、15時40分に発走予定となっている。
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