【高松宮記念(G1)展望】「申し訳ない気持ちでいっぱい」スプリンターズSから半年…ナムラクレアがG1制覇へ!ウインマーベル、ママコチャなどライバル陣も虎視眈々
いよいよ本格的な春のG1シーズンが始まる。24日に中京競馬場で行われるのは、春のスプリント王を決める高松宮記念(G1)だ。
ここ数年のスプリント路線は混迷を極めているが、G1での惜敗続きにピリオドを打ちたいのがナムラクレア(牝5歳、栗東・長谷川浩大厩舎)である。
3年前の小倉2歳S(G3)を皮切りにこれまで重賞を4勝しているが、G1では6戦未勝利。2着1回、3着2回を含めて5戦で掲示板を確保しているものの、1勝が遠い。
2番人気に推された昨年の当レースでは、中団から直線で伸びるも伏兵ファストフォースに後塵を拝した。秋はスプリンターズS(G1)で堂々の1番人気に支持されたが、ロスなくさばいた2頭に後れを取って3着。スタートでやや立ち遅れ、勝負所で窮屈になる厳しい競馬を強いられての敗戦だった。
立ち回り次第では勝ち負けもあったかという内容に、「競馬に関しては悔しいし、申し訳ない気持ちでいっぱい」とコメントしたのは主戦の浜中俊騎手。小倉2歳S以降の全レースで手綱を取っているだけに、ナムラクレアにG1を勝たせたいという気持ちは強いだろう。
スプリンターズSの後は4か月半の休養を挟んで、京都牝馬S(G3)で始動。陣営が「目標は次(高松宮記念)」と口をそろえる中、前走から10kg増で自己最高馬体重を更新しており、やや余裕残しにも映った。それでも4角10番手から上がり3位タイの末脚を繰り出して2着に追い込んでいる。
また、陣営が意図したかどうかは不明だが、前走で1400mの距離を走ったことがプラスと出る可能性もありそう。
これまでナムラクレアは、距離延長時が「0-2-1-2」、前走と同距離時は「2-1-2-1」という成績。これに対して距離短縮時は「3-1-0-0」とパーフェクト連対中である。激走パターンで“7度目の正直”を果たせるか。
対抗格として名前が挙がる関東馬2騎
ナムラクレアの対抗格として名前が挙がるのは関東馬の2頭。重賞2連勝中と勢いに乗るウインマーベルとトウシンマカオである。
ウインマーベル(牡5歳、美浦・深山雅史厩舎)は、3歳春に葵S(G3)を勝ち、その秋のスプリンターズSで2着に好走。古馬になってからの飛躍が期待された。
ところが4歳初戦のシルクロードS(G3)で7着、続く高松宮記念で10着に凡走し、やや評価を落とす。京王杯スプリングC(G2)こそ2着に巻き返したものの、キーンランドC(G3)では最下位の16着と惨敗を喫した。
昨秋はスプリンターズSで6着、スワンS(G2)で5着と掲示板を確保し復調気配を覗かせると、昨年暮れの阪神C(G2)で完全復活。上位3頭からやや離された4番人気に留まったが、7着まで0秒2差の激戦を制して重賞2勝目を飾った。
さらに1番人気に支持された前走の阪急杯(G3)では重馬場を苦にせず。最内枠から最後はハナ差の接戦を制し重賞2連勝を飾った。
近2走は1400mで結果を出したが、勢いを取り戻した今なら1200mでより持ち味を発揮できるだろう。近走は課題だったスタートも安定しており、鞍上・松山弘平騎手の視界には2021年チャンピオンズC以来のG1勝利も入っているはずだ。
トウシンマカオ(牡5歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)は、22~23年の京阪杯(G3)を連覇した実力馬。前走のオーシャンS(G3)も1番人気に応えて重賞3勝目を挙げた。
ただ、G1ではこれまで3戦して、6着、8着、15着と結果を出せていない。朝日杯フューチュリティS(G1)とNHKマイルC(G1)はマイル戦、昨年の当レースは不良開催で自慢のスピードが削がれる馬場になったことも大きかった。
1年前は462kgだった馬体重だが、前走のオーシャンS時が480kgと馬体は大幅増。重賞2連勝中で心身ともに充実の5歳春を迎えている。鞍上には初騎乗のC.ルメール騎手を配して、念願のG1獲りに挑む。
スプリントG1連勝を狙うママコチャ
メンバーで唯一、芝のスプリントG1を勝っているのがママコチャ(牝5歳、栗東・池江泰寿厩舎)だ。
昨秋のスプリンターズSは3番人気ながら、テン乗りの川田将雅騎手を背に好位から抜け出す横綱相撲。重賞初制覇がG1という離れ業を見事にやってのけた。
前走の阪神Cで1番人気に推されたものの、最後の直線で伸びきれず。5着に敗れたものの、1200mに戻る今回は簡単に負けるわけにはいかないだろう。
スプリンターズSでママコチャと大接戦の末、ハナ差で惜敗したのがマッドクール(牡5歳、栗東・池添学厩舎)だ。
前走の香港スプリント(G1)で初の海外遠征を試みたが8着に惨敗。スタートは五分に出たもののダッシュが利かず、勝ちパターンの先行策をとることができなかった。
今回は海外遠征帰りにはなるが、十分に間隔は空いており、状態面の不安はないだろう。3勝している中京コースが舞台なら巻き返しは可能だ。
ここまで名前が挙がった5頭は全てイクイノックスやドウデュースと同じ5歳馬。短距離路線でも存在感を放っている世代である。そんな5歳世代に対峙する4歳世代の代表格がルガル(牡4歳、栗東・杉山晴紀厩舎)だ。
デビューからダートを使われ、4戦目で初勝利。そのままダート路線を歩んでもおかしくなかったが、陣営はこのタイミングで芝路線に舵を切った。
芝転向2戦目で橘S(L)を勝利すると、その後は重賞でなかなか勝ち切れなかった。しかし、前走のシルクロードSで重賞初制覇。2番手追走から抜け出し、2着のアグリに3馬身差をつける完勝だった。
目下の充実ぶりから今回も強豪ぞろいの年長馬をまとめて打ち負かしても全く驚けないだろう。
海外馬ビクターザウィナーも参戦予定
6年ぶりに海外馬が参戦する。前走・香港のセンテナリースプリントC(G1)でG1初勝利を飾り勢いに乗るビクターザウィナー(セ6歳、香港・C.シャム厩舎)だ。
日本の馬場への適性は未知数だが、絶対的な存在がいない今のスプリント路線なら、2015年エアロヴェロシティ以来の香港馬によるVがあってもおかしくない。
この他には、前走の京都牝馬Sでナムラクレアを撃破したソーダズリング(牝4歳、栗東・音無秀孝厩舎)、オーシャンS2着のビッグシーザー(牡4歳、栗東・西園正都厩舎)、これがラストランとなるメイケイエール(牝6歳、栗東・武英智厩舎)とディヴィーナ(牝6歳、栗東・友道康夫厩舎)などもG1初制覇を虎視眈々と見据えている。
ようやくナムラクレアに順番が回ってくるのか、それとも他馬がそれを阻止するのか。春の芝G1開幕を告げる電撃の6ハロン戦は、24日15時40分に発走を迎える。
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