JRA・C.ルメール「強奪」タワーオブロンドンで負けられない!? スプリンターズS「勝つ自信あります」の“裏”によぎる昨秋「大失速」の記憶……
G1初制覇へ、機は熟したか。
前哨戦のセントウルS(G2)を3馬身差で圧勝したタワーオブロンドン(牡4歳、美浦・藤沢和雄厩舎)が、スプリンターズS(G1)で満を持してのG1獲りに挑む。
ここまで13戦6勝。特に1200mに限っては、重賞を3戦して馬券圏内を外したことがなく、陣営が「1200mに慣れてきた」と話した前走のセントウルSは、圧巻のレコード勝ちだった。もともと3歳春のNHKマイルC(G1)直前には、欧州遠征も取り沙汰されていた素質馬。出走した2度のG1は2番人気、1番人気と、いつビッグタイトルに手が届いてもおかしくはない存在だ。
そんな大器に半ば強引に騎乗が決まったのが、C.ルメール騎手だ。
「ルメール騎手はもともと、今年の桜花賞馬グランアレグリアとのコンビでスプリンターズSに出走する予定でしたが、同馬は左前脚の蹄炎症で回避が決定。タワーオブロンドンには、すでに浜中俊騎手とのコンビで出走するプランがありましたが、オーナーサイドの意向もあり、半ば強引な形で乗り替わることとなった経緯があります」(競馬記者)
異例ともいえる乗り替わりにネット上のファンからは「強奪」の声も……。まさに弱肉強食といえるかもしれないが、記者によるとルメール騎手にとっては嬉しい決定に違いないという。
無論、騎乗予定馬が回避したにも関わらず、有力馬に乗れることは大きなメリットに違いないが、それだけではないようだ。
「10月に入ると、世界のトップジョッキーが続々と来日しますからね。今でこそルメール騎手と、リーディングを争う川田将雅騎手が抜けた存在ですが、秋が深まるにつれて、一気に勢力図が変わりそうです。ルメール騎手にしても、今のうちにビッグレースを勝っておきたいでしょうね」(同)
実際に、昨秋のルメール騎手は秋華賞、菊花賞、そして天皇賞・秋とG1・3連勝。まさに「ルメール天下」が訪れたかに思われたが、外国人騎手が続々と来日してじょじょに失速……。
結局、ルメール騎手が11月以降にG1を勝てたのは、アーモンドアイのジャパンCだけだった。
「11月以降、ルメール騎手のG1騎乗馬はエリザベス女王杯のノームコア(2番人気)以外、すべて1番人気。マイルCS、朝日杯フューチュリティS、そして有馬記念と尽く人気を裏切る格好になってしまいました。
ルメール騎手が世界的にもトップジョッキーの1人であることは確かですが、JRAに短期免許で来日する騎手は、いずれもルメール騎手に勝るとも劣らないワールドクラス。ルメール騎手でも、そう簡単に大レースを勝てないのは自明の理といえるでしょう」(別の記者)
今秋は、世界女王エネイブルの主戦L.デットーリ騎手や、世界中のビッグレースを勝ちまくっているC.スミヨン騎手など、10週連続G1勝利を上げた昨秋以上の外国人騎手が来日を予定している。
「タワーオブロンドンで勝つ自信があります。この間、レコード獲りました。超速かった!」
25日に住之江ボートレース場のトークショーに参加したルメール騎手は、堂々の勝利宣言。その胸には、昨年やられた世界のトップジョッキーたちへの思いが沸々と燃えているはずだ。