JRA「不真面目娘」ナックビーナスが現役引退! 伝説的名騎手J.モレイラ騎手の“マジック”で輝きを放った名牝
18年キーンランドC(G3)を勝利したナックビーナス(牝7歳、美浦・杉浦厩舎)が1日付で登録を抹消された。通算成績は38戦8勝。今後は社台ファームにて繁殖馬となる予定だという。
ナックビーナスのキャリアはオーシャンS(G3)での「4年連続2着」、また18年の高松宮記念(G1)3着など惜敗の連続。重賞勝利はキーンランドC(G3)の1回のみだった。
この勝利は雷神J.モレイラ騎手とのタッグで達成しているが、ここで改めてモレイラ騎手の凄さを実感したという関係者も多いという。
それまでナックビーナスは高い潜在能力こそ評価されていたものの、管理する杉浦調教師も「相変わらず自分で手加減する」とサボり癖に手を焼いていた。さらにこの悪癖は稽古だけではなくレースでも顔を出し、これが勝負の結果を左右することもあったようだ。
「モレイラ騎手と臨んだキーンランドCでは好スタートを見せてあっさりとハナを奪取。さらに自らスパートをかけるなどいつになく積極的で、真面目な競馬を展開しています。
はたから見れば『暴走』とも思われかねないアグレッシグなレース運びでしたが、それで最後まで持たせてしまうからこそ、モレイラ騎手はあれほど勝ち星を積み重ねることができたのでしょうね」(競馬誌ライター)
この勝利をきっかけに善戦マンからの脱却に期待が寄せられた。続くスプリンターズS(G1)では、コンビが継続したこともあり2番人気に支持される。だが、そこでも積極的に前に出るも最後の直線で伸びを欠いて7着。レース後にモレイラ騎手は「馬場が原因なのか走りのバランスが悪く、モタれて走っていました」と語るなど、馬場にも泣き悲願のG1制覇は露と消えた。
その後はモレイラ騎手とコンビを組む機会にも恵まれなかった。それでもリステッド競走で勝利はあげたものの、重賞勝利は遠く、今年の高松宮記念で14着に敗れたことを機に、ターフを去ることを決めたようだ。
癖馬ナックビーナス。今後誕生するだろう産駒にはその気難しさが遺伝せず、母を超える活躍をすることを期待したい。