JRAを超える成長力!?「総額7000億」全国の地方競馬が「オール前年比100%超え」の大盛況
コロナウイルスの影響で無観客競馬が続く日本全国の地方競馬だが、2019年度の売上はどこもかしこも好調だった。すべての競馬場で前年を大きく上回っているのである。3月31日で年度末(2019年4月1日~2020年3月31日)となり、続々とその結果が発表されている。
■帯広競馬場(ばんえい)
2019年度売上:310億8567万円
2018年度売上:244億2919万円
前年比:+66億5648万円
前年比:127.2%
インターネット販売が好調で6年連続で過去最高を更新。金沢や笠松より売上が多いのは大健闘だろう。
■門別競馬場
2019年度売上:330億8200万円
2018年度売上:251億4342万円
前年比:+79億3858万円
前年比:131.6%
300億円を超えたのは1994年以来で、9年連続前年超えと好調。開催日数が80日しかないことを考えれば上々の成績だ。
■岩手(盛岡・水沢)競馬場
2019年度売上:374億700万円
2018年度売上:313億3300万円
前年比:+60億7400万円
前年比:119.4%
禁止薬物問題で7日間の開催中止があったものの、大幅に売り上げ増を記録した。
■浦和競馬場
2019年度売上:556億1414万円
2018年度売上:464億7131万円
前年比:+91億4283万円
前年比:119.6%
昨年は念願のJBCを開催。当日の総売上は58億3151万1430円で、今までの15億2883万9020円を大幅に塗り替える浦和の1日レコードを記録。JBC開催を抜いても売り上げは大幅アップだった。
■船橋競馬場
2019年度売上:675億1301万円
2018年度売上:581億6356万円
前年比:+93億4945万円
前年比:116.1%
前年比でプラス100億円弱、そして過去最高の売上を記録と好調。地方重賞の船橋記念では5億円を超える売り上げを記録した。
■大井競馬場
2019年度売上:1446億9876万円
2018年度売上:1303億8041万円
前年比:+143億1835万円
前年比:110.9%
やはり地方競馬の王者は圧巻だ。唯一の1000億円超えどころか、1400億円を超えている。1日平均15億円の売上も素晴らしい。
■川崎競馬場
2019年度売上:765億2691万円
2018年度売上:708億5340万円
前年比:+56億7351万円
前年比:108.0%
大井、船橋、浦和競馬ほどの伸び率はなかったものの、南関ナンバー2の面目は保った印象。それでも売上金最高記録は3年連続更新。
■金沢競馬場
2019年度売上:194億762万円以上
2018年度売上:182億8621万円
前年比:+20億円以上?
前年比:111.6%以上
2月終了時点での成績。3月の7日分が未集計だが、1日の売上平均が約2億4000万円なので200億円超えは確実か。
■笠松競馬場
2019年度売上:255億3371万円以上
2018年度売上:234億7646万円
前年比:+30億円以上?
前年比:117.2%以上
2月終了時点での成績。3月の6日分が未集計だが、1日の売上平均が約3億円なので270億円超えあたりか。
■名古屋競馬場
2019年度売上:412億8949万円
2018年度売上:350億5574万円
前年比:+62億3375万円
前年比:117.7%
24年ぶりに売上が400億円を突破。昨年より開催が2日少ないことを考えれば上々の成績。前年と同じ開催数であれば420億円も狙えた。
■園田・姫路競馬場
2019年度売上:766億5007万円
2018年度売上:653億5540万円
前年比:+112億9467万円
前年比:117.3%
約7年ぶりに再開した姫路競馬場で2開催(12日)が行われた影響を加味しても、かなりの大幅増となっている。売上は川崎を抜いて地方全国2位へ。
■高知競馬場
2019年度売上:564億1217万円
2018年度売上:429億7919万円
前年比:+134億3298万円
前年比:131.3%
かつて年間売上38億円ほどまでに減少した高知競馬の勢いが凄い。今年も前年のレコードを大幅に更新。JRA開催時の土日ナイター競馬の恩恵が大きそうだ。
■佐賀競馬場
2019年度売上:277億6169万円以上
2018年度売上:274億8738万円
前年比:+30億円以上?
前年比:115.1%以上
2月終了時点での成績。3月の11日分が未集計だが、1日の売上平均が約2億8600万円なので300億円超えも視野に入る。
地方競馬全体の売上は7009億7169万1780円で前年比116.2%。2018年の6033億8737万2180円から、約1000億円もアップしている。これは破格の数字だ。
なお2019年のJRA(日本中央競馬会)は2兆8817億1700円で、前年比3.1%増とこちらも好成績だが、伸び率は地方競馬の方が上。そして地方とJRAを合わせた売上総額は約3兆6000億円にも達している。
個別で見てみると、12月29日の東京大賞典(G1)当日の売上は92億5853万8550円(前年比116.5%)を記録し、地方競馬1日の売上レコードを更新。競馬場への来場者数も4万7000人を超えるなど、JRAのG1レースに劣らない人気であった
さらに1月30日の高知競馬でも1開催の売上レコードを更新。その金額はなんと46億1673万3300円。これまでの約35億円を大幅に上回っており、その勢いは本物。2008年の高知競馬は、年間の売上が38億8100万円でしかなかった。しかし、そこから11年連続で売り上げ増、昨年は478億円に到達。凄まじいまでのV字回復を見せたのだ。逆境を跳ねのけた関係者の努力は素晴らしいものがある。
この勢いで2020年度も、と多くの関係者は考えていただろうが、そこにやってきたのがコロナウイルス(COVID-19)だ。インターネットでの馬券販売が好調とはいえ、やはり無観客競馬の影響は大きい。競馬場としてみれば入場者による売上は、売店や食堂、競馬新聞、さらに周囲の駐車場や駅周辺の飲み屋など多岐に渡る。地域に根差した競馬は様々な相乗効果を生んできた。それがすべて吹き飛んだのだから影響は甚大である。
どこまで持ちこたえられるか、そしていつ規制が解除されるか。スタンドを埋め尽くすファンと鳴り響く歓声を待ちながら地方競馬を応援していきたい。