JRA「味を占めた改革」で全国ウインズが閉鎖続々!? 日本ダービー(G1)無観客開催決定も、通常開催再開後にあり得る「方針」とは
23日、JRAは5月31日まで無観客で開催を行うことを発表した。これにより競馬の祭典・日本ダービー(G1)は無観客での開催となる。2月29日から始まった無観客開催は、これで3か月間続くことになった。
無観客開催に伴い、馬券発売はインターネット投票と電話投票に限定されたこともあり、当初は売上面で苦戦していたが、最近はそうでもないようだ。
【無観客初週の重賞売上】
3月1日(日) 阪急杯(G3) 43億5650万4400円(前年比86.3%)
3月1日(日) 中山記念(G2) 46億5252万5600円(前年比63.3%)
馬券の発売方法が限定されたことをきっかけに、この週にインターネット投票『即PAT』の加入申し込みが急増。これが売上維持に一役買ったが、やはり大幅減の結果となってしまった。しかし、現金投票が約30%だったことを考えれば、ある意味想定の範囲内の数字かもしれない。
【直近の重賞売上】
4月18日(土) アーリントンC(G3) 31億2570万8400円(前年比100.6%)
4月18日(土) 中山グランドジャンプ(G1) 22億6918万8900円(前年比102.3%)
4月19日(日) アンタレスS(G3) 25億2103万9500円(前年比109.2%)
4月19日(日) 皐月賞(G1) 153億7181万4700円(前年比84,1%)
皐月賞こそ売上を落としているが、なんと他の重賞はすべて増加しているのだ。緊急事態宣言前の3月はまだ自粛要請が始まっていなかったように、現在とは社会情勢が異なる。そのため単純比較できないが、インターネット投票の普及が大きく数字を押し上げていると推測される。
売上が減少した皐月賞は、G1だけ馬券を買うライト層が馬券を買っていないことが影響していると思われる。これは同レースに限らず、桜花賞(G1)や大阪杯(G1)でも売上減の結果だった。いまのJRAにとっては、G1レースの売上減少が1番の痛手だろう。
だが、コスト面を考えるとプラス材料もあるようだ。
「ファンには申し訳ないのですが、JRAは無観客競馬で様々な事が分かったみたいです。自宅待機要請、他の娯楽がない状況が与える影響が大きいとはいえ、売上はなんとかキープしています。
その一方で各競馬場、ウインズの人件費や電気代などのランニングコストを考えると、大幅なコストダウンで効率の良い運営になっているようです。これらの結果を考慮して、今後はウインズの閉鎖などに着手する可能性もありそうですね」(競馬記者)
実際に、これまでウインズで馬券を購入していたファンの多くは、現金購入派でインターネット投票を行っていなかった。
しかし、今回の無観客開催を受けてインターネット投票を始めた人もかなり増えている。もしウインズが営業再開しても、これまで足繁く通っていたファンの足が遠のく可能性は十分にあるはずだ。経営状況の良くないウインズにとっては、客数減少は追い打ちとなり閉鎖もありえるだろう。
ただ、ウインズにも良さがあることは間違いない。出先の隙間時間で競馬を楽しめること、競馬場から離れた地域では競馬の雰囲気を楽しめる重要な場所でもある。また競馬場ではなく、あえてウインズに行くのも一興だ。そして何より、思い思いの“怒号”に似た声援が飛び交う雰囲気がたまらないというファンはまだまだ多い。
今回の無観客開催の影響で馬券購入の新しい選択肢は増えたかもしれない。だが、ウインズという昔からある場所も大切にしてほしいものだ。