JRAモーリス産駒初勝利は「反則」勝ち!? カイザーノヴァ異次元の末脚も「タックル炸裂」で坂井瑠星騎手は無念の騎乗停止……
11日、函館競馬場で行われた新馬戦(芝1200m)は、6番人気のカイザーノヴァ(牡2歳、栗東・矢作芳人厩舎)が快勝。今夏から産駒がデビューしている新種牡馬のモーリスにとっては、これが待望の初勝利となった。
13頭立てで行われた芝1200mのレース。ゲートを上手く飛び出したカイザーノヴァだったが、鞍上の坂井瑠星騎手が「イメージ通り後ろから」と振り返った通り、行き脚がつかずに後方から。道中でじょじょにポジションを上げ、最後の直線で外に持ち出されると、そこから父譲りの末脚が爆発。圧倒的な手応えで一気に先頭に立つと、最後は流し気味のままゴールした。
大きな注目を浴びながら、重ねること21連敗……関係者も、ファンも待ち焦がれた大物種牡馬にようやく白星が転がり込んだ。この勝利には、カイザーノヴァを管理する矢作芳人調教師も「(モーリス産駒が勝てて)よかった」とコメント。産駒の上場が予定されている来週のセレクトセールを前に、効果的なアピールができたようだ。
「父モーリスの不振もあって6番人気という低評価でしたが、強かったですね。特に最後の末脚は、このメンバーではケタ違いの伸びでした。坂井騎手が『道中はフワフワしていた』と話していた通り、まだ荒削りなところはありますが、スケールを感じる走りでした。
『距離は延びてもいい』(坂井騎手)と話していましたが、(ゲートを)好発しながらもなかなか行き脚がつかなかったので、むしろもっと距離があった方がいいかもしれません。2戦目以降で、この辺りが修正できると、ますます楽しみな存在になりそうです」(競馬記者)
だがその一方、喜んでばかりはいられない勝利でもあったようだ。
勝負所の最後の直線入り口で中団から加速したカイザーノヴァだったが、その際、外に大きく膨れてしまい、隣にいたサンダナポイントに激しく体当たりする格好に……。そこからの伸びは圧巻の一言だったが、バランスを崩したサンダナポイントはそのまま戦意を喪失したのか、12着に大敗した。
JRAは本件を受け、カイザーノヴァの鞍上・坂井騎手に開催4日間の騎乗停止処分を発表。先日、大井競馬場で行われたジャパンダートダービー(G1)でG1初制覇を決めたばかりの若武者にとっては、痛恨の処分となった。
「勝つには勝ったんですが、行儀の悪いレースになってしまいました……。ただ、パトロールビデオを見た限り、カイザーノヴァが自分から外にモタれているようにも見えるので、坂井騎手にとってはちょっと気の毒な騎乗停止になりましたね。馬を御せなかった騎手にも当然責任はあると思いますが、これで4日間の騎乗停止は少し酷だと思います」(別の記者)
レース後、矢作調教師は「オーナーと話して函館2歳S(G3)に連闘で向かうか、どうかを決めます」と続戦に意欲。不幸中の幸いか、坂井騎手の騎乗停止は25日からなので、18日の函館2歳Sには騎乗可能だ。
いずれにせよ、今度こそすっきりとした勝ち星を上げたいところに違いない。