JRA秋華賞(G1)リアアメリアは「ファインモーション級」か!? 前走「完全復活」が“裏目”に出る意外な理由とは……
18日、京都競馬場では注目の秋華賞(G1)が開催される。デアリングタクトが無敗の牝馬3冠を目指す一方、他陣営の合言葉は『打倒デアリングタクト』。その筆頭格が前走のローズS(G2)で復活の勝利を飾ったリアアメリア(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)だ。
14日現在、『netkeiba.com』の予想オッズでは、デアリングタクトが1.2倍で断然人気。これに続くのが5.6倍のリアアメリアで、さらに離れた16倍台のウインマリリンとなっている。3番手以下と大きな開きがあることから、無敗の牝馬3冠誕生を阻止するならリアアメリアという見方が強いと言えるだろう。
リアアメリアへの期待が高まった理由の一つが、前走のローズSで見せた圧勝劇だろう。“わざと出遅れた”デビュー戦から一貫して中団・後方から末脚を生かす競馬をしてきたリアアメリア。前走は一転、1番枠だったこともあってか、積極的な先行策を取った。道中2番手追走から直線早めに抜け出すと、そのまま押し切り、2着のムジカに2馬身差をつけた。
川田将雅騎手は「脚質を変えたというよりは、やっとこの馬のリズムで走る競馬ができたのだと思います」と、リアアメリアの成長を感じているようだ。
また、中内田調教師は『スポーツ報知』の取材に、「前走と同じように、上手に競馬してくれたら」と話したように、本番でも前走同様の積極策に出る可能性が高いだろう。
それまでの差し一辺倒の競馬から、番手追走という新たな一面を見せ、競馬の幅が広がったことはプラスに思える。しかし、こと秋華賞においては、これが裏目に出る可能性を秘めている。
1996年のレース創設以降、前走で先行した馬が秋華賞でも先行した時の成績は「4-2-4-28」(勝率・10.5%、連対率・15.8%、複勝率・26.3%)。この数字自体は及第点以上だ。しかし、これを時系列で見てみると、意外な事実が浮かび上がった。
前走、そして本番ともに先行策を取って秋華賞を制した馬は2002年を最後に出ていない。18年前は、単勝オッズ1.1倍という圧倒的支持を受けたファインモーションが、デビュー5連勝で秋華賞を制した。創設から2002年までの7年間で、2走続けて先行策を取った馬は、「4-0-2-9」と圧倒的な成績を収めていた。ところが、2003年から昨年までは、「0-2-2-19」と、それまでとは様変わりしてしまった。
ちなみに、秋華賞で最も多く優勝しているのが、前走で中団に控え、秋華賞でも中団からレースを進めた馬。過去24頭の勝ち馬のうち、実に9頭がこのパターンだった。
リアアメリアのリズムに合うのが先行策ということであれば、データ的には苦戦必至だが、打倒デアリングタクトの最右翼として見せ場をつくれるだろうか。