元JRA藤田伸二氏、大本命クリソベリル敗戦は「珍客ヨシオ」のせい!? 史上初ジャパンC→チャンピオンズC「歴史的連闘」で残した意外な爪痕
1つの大きな挑戦が終わった。
6日、中京競馬場で行われたチャンピオンズC(G1)は圧倒的1番人気だったクリソベリルが敗れ、4番人気のチュウワウィザードが優勝する波乱の結末で幕を閉じた。
一方で、ひっそりと(それほどひっそりでもないかもしれないが)キャリア最大の挑戦を終えたのがヨシオ(牡7歳、栗東・森秀行厩舎)だ。
「前の位置を取って3コーナーまで食らいついてくれましたが、そこから一杯になりました」
レース後、鞍上の亀田温心騎手がそう振り返った通り、スタートから果敢に先行したヨシオだったが、勝負所を迎えてズルズルと後退……。2週連続の最下位に敗れたが、それでも前のメイショウワザシにクビ差と食らいついたのは、最後まで戦った証だろう。
この2週間、競馬界で最も名前を売った馬は、間違いなくヨシオだ。
アーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトという3頭の三冠馬が出揃い「世紀の一戦」とまで称された今年のジャパンC(G1)。登録馬が発表され、熱心な競馬ファンの誰もがヨシオの名前に目を疑ったに違いない。
それもそのはず。ヨシオは約5年間ずっとダートで走り続けており、主な勝ち鞍はダート1200mのジャニュアリーS(OP)。2015年7月のデビュー戦以来、67戦ぶりの芝挑戦であり、ジャパンCとはあまりにもかけ離れた存在だったからだ。
そんな“珍客”の登場を受け、競馬ファンがSNSなどを通じて「ヨシオ」の存在を拡散。もともと桁外れの注目度を誇った今年のジャパンCだっただけに、ヨシオの名は一気に全国区となった。
実際に、年末に行われる有馬記念(G1)のファン投票の第1回中間発表では、ヨシオが60位と健闘。今春の宝塚記念(G1)のファン投票では当然の圏外(100位以下)だったのだから、大躍進と述べても差し支えないだろう。
一方、異例の出走に「奨励金目当て」などと揶揄する声もあったが、ヨシオの元オーナーで故人の仲山誉志夫(よしお)さんと親交の深かった西山茂行オーナーが「個人馬主にとって、ジャパンCのパドックに立つことは夢」「ヨシオは仲山誉志夫さんの夢を背負って出走している」と発言。次第に、純粋に応援するファンが増えていったようだ。
結果的にヨシオはジャパンCも、チャンピオンズCも最下位。早々に後退し、勝負所で見せ場すら作ることができなかった。
当然といえば当然の結果かもしれないが、一方で意外な“爪痕”を残したようだ。