新女王クロノジェネシス、JRA賞「無冠」の危機!? 有馬記念(G1)快勝、同一年グランプリ春秋制覇は4/7で年度代表馬も……

 27日、中山競馬場で行われた冬のグランプリ・有馬記念(G1)は、1番人気のクロノジェネシス(牝4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が優勝。春の宝塚記念に続く、グランプリ春秋制覇となった。

 レース後、主戦の北村友一騎手からは「今年は未対戦の3冠馬が2頭いますので、そこに譲らないように。主役となって引っ張っていけるような存在であってほしいなと思います」と、後輩のコントレイル、デアリングタクトら三冠馬に力強く宣戦布告。

 最強女王アーモンドアイがG1・9勝という伝説と共にターフを去った今、今後の競馬界を牽引するのは、やはりこの新女王になりそうだ。

 しかし、そんな新女王の誕生とは裏腹に混乱をきたしそうなのが、今年度のJRA賞だ。関係者からはクロノジェネシスが「無冠に終わる可能性もある」という声もあるから驚きである。

 毎年、年度代表馬を筆頭に、各カテゴリーごとに表彰を行っているJRA賞。コントレイル、デアリングタクトが無敗の三冠を達成したことで、最優秀3歳牡馬や最優秀3歳牝馬は満票近くですんなり決まりそうだ。アーモンドアイを負かしたグランアレグリアも最優秀短距離馬に落ち着くだろう。

 一方で年度代表馬争いは早くから度々議論に挙がっているが、やはり直接対決となったジャパンC(G1)で無敗の三冠馬2頭を負かしたアーモンドアイの優位は揺るがない。

 ただ、そのアーモンドアイが表彰を受けるのは、最優秀4歳以上牝馬になることが極めて濃厚だ。そうなってくると4歳牝馬クロノジェネシスの座るべき椅子が、いよいよなくなってくるというわけだ。

 ちなみにグレード制導入以降、同一年で宝塚記念と有馬記念の「グランプリ春秋制覇」を成し遂げた馬は過去に7頭。その内1989年イナリワン、2000年テイエムオペラオー、2006年ディープインパクト、そして昨年の2019年リスグラシューの4頭は年度代表馬に輝いている。

 また、1992年メジロパーマー、2009年ドリームジャーニーも年度代表馬こそ逃したものの最優秀4歳(旧表記5歳)以上牡馬をゲット。これだけを見ても、やはりグランプリは競馬の中で非常に高い価値を誇っていることが窺える。

「おそらくクロノジェネシスは特別賞になると思います。特別賞は、顕著な成績を収めながらも、どのJRA賞にも該当しなかった馬に贈られる賞ですが、グランプリ春秋制覇の例でいうと1999年のグラスワンダーが当てはまりますね。直近では2016年に天皇賞・秋(G1)に加え、香港のG1を2勝したモーリスが受賞しました」(競馬記者)

 ちなみに、グラスワンダーがグランプリ春秋制覇を成し遂げながらも特別賞に留まった199年に年度代表馬を獲得したのはエルコンドルパサー。凱旋門賞(仏G1)2着など、欧州で輝かしい結果を残したものの、年間1度も国内で出走しないまま受賞という異例の選出だった。

 また、この年には天皇賞で春秋制覇を達成したスペシャルウィークも特別賞を受賞している。まさに今年と同じく、強い馬が強い競馬をした1年だった。

 そして、それは同時に競馬界に豊富なスターホースが揃っていたということだ。まだ決定したわけではないが、クロノジェネシスの特別賞は、同時に今年の競馬界の充実を意味するものになるだろう。

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