JRA C.ルメール「争奪戦」勃発!? 京成杯(G3)「楽勝でした」グラティアスVS「来年が楽しみ」オーソクレース……「G1で乗りたい」と語ったのは?
良血馬が実力の違いを見せつけた。
17日、中山競馬場で行われた京成杯(G3)は、1番人気のグラティアス(牡3歳、美浦・加藤征弘厩舎)が優勝。一昨年の2歳女王レシステンシアの弟が、春のクラシック戦線へ大きく名乗りを上げた。
皐月賞(G1)と同じ中山芝2000mを12頭で行われたレース。これといった逃げ馬が不在の中、2番人気のタイムトゥヘヴンが押し出されるようにハナに立った一方、デビュー戦を逃げ切ったグラティアスは早々に主導権争いを“辞退”……好位からの競馬は鞍上のC.ルメール騎手が「凄くうれしかった」と話した通り、理想的な展開となった。
勝負の明暗が大きく分かれたのは、最後の直線入り口だった。すぐ前を走っていたタイムトゥヘヴンが外に進路を取ると、ルメール騎手とグラティアスは迷わず空いた内に突っ込んだ。そこからは「素晴らしい手応え」という言葉通りのワンサイドゲーム。あっという間に後続を突き放すと、最後は流してゴールした。
「強い競馬でしたね。姉のレシステンシアはダイワメジャー産駒ということでマイルが中心ですが、ハーツクライ産駒のコチラは距離をこなせそうです。
馬場が悪くなっている内を突いた時は『どうかな?』と思いましたが、後でパトロール(ビデオ)を見ると、ルメール騎手が内の中でも馬場状態が良いラチ沿いギリギリのところを上手く走らせていました。さすがの好騎乗だったと思います」(競馬記者)
例年通り開幕の金杯開催をお休みしたルメール騎手だったが、これで早くも重賞2勝目。リーディングも1位の松山弘平騎手に1勝差の2位と、”定位置”復帰は時間の問題だろう。今年も、このフランス人ジョッキーを中心に競馬が回っていくことは間違いなさそうだ。
ただ、ここで浮上するのがルメール騎手を巡る「今後」の鞍上問題である。
「レース後にルメール騎手が『結構楽勝でした』と語った通り、非常に強い勝ち方をしたグラティアスが目指すところは当然、皐月賞や日本ダービー(G1)といったクラシック路線でしょう。ルメール騎手も『できればG1で乗りたいし、勝ちたい』と継続での騎乗を希望しています。
しかし、ルメール騎手には昨年末のホープフルS(G1)で2着したオーソクレースというお手馬もいます。こちらは勝ったダノンザキッドには完敗でしたが、母マリアライトが古馬になってエリザベス女王杯(G1)と宝塚記念(G1)を制したように将来性は十分。毎度のことですが、ルメール騎手が本番でどの馬を選ぶのかは注目されるところですね」(競馬記者)
昨年も9冠女王アーモンドアイを筆頭に、グランアレグリア、ラッキーライラック、フィエールマンといった有力馬を次々と乗り替わり、年間G1・8勝を荒稼ぎしたルメール騎手。毎年、代役候補の筆頭に挙がる短期免許の外国人騎手がコロナ禍で来日できない中、マネージメントは群を抜いていた。
ホープフルSで敗れながらも「来年が楽しみ」とオーソクレースを評価した一方、デビュー2連勝で重賞を勝ったグラティアスにも「まだ良くなれる。improve(磨きをかける)したらG1に行けると思います」と高評価を与えているルメール騎手。
果たして、今年のクラシックにはグラティアスと挑むのか、それともオーソクレースの将来性に期待するのか、はたまた……。いずれせよ、この4年連続のリーディングジョッキーに選ばれた馬が、クラシックの最有力候補に名を連ねるのかもしれない。