JRA社台も真っ青「1200万円」デアリングタクトが霞む「0円」サクラバクシンオーの“失態”伝説!? 「ドブネズミみたい」と罵られた稀代のスピードスター
25日に開催される香港・クイーンエリザベス2世C(G1、シャティン競馬場)の最有力馬の1頭に数えられているデアリングタクトは昨年、史上初の無敗牝馬三冠を達成しただけでなく「1200万円」という安価で落札されたことでも有名だ。
母デアリングバードは日本最大手の社台グループの生産馬だったが、2014年の繁殖牝馬セールで売却。取引額は、わずか388万円だったという。あくまで結果論に過ぎないが、現在のデアリングタクトの活躍ぶりを見れば、天下の社台グループにとっても失ったものは小さくないと言わざるを得ないだろう。
競走馬が日常的に売買される競馬の世界では、こういったエピソードに事欠かないが、そんなデアリングタクト……いや、これまでの様々な“逆転劇”の中でも、その頂点に立っているのが、競馬史に残るスピードスター・サクラバクシンオーだ。
なにせ、取引額は“0円”である。
父サクラユタカオーは当時でも内国産種牡馬の筆頭格に挙げられ、母サクラハゴロモは天皇賞・春と有馬記念を勝ったアンバーシャダイの全妹。社台ファーム生産馬として生まれたサクラバクシンオーは、本来なら到底無償で取引されるはずがない良血馬だ。
最終的にサクラバクシンオーの馬主となる、さくらコマースの全演植氏が最初に欲しかったのは、アンバーシャダイの全妹となるサクラハゴロモだった。しかし、社台ファームとしても、引退後の繫殖牝馬としての期待は決して小さくなく、交渉の結果、期間限定の貸し出しということになった。
3年間のリースという形でデビューしたサクラハゴロモだったが、骨折で約1年間を棒に振るなど脚元に不安があった。そこで、さくらコマースは2年間で引退させて社台ファームへ返却。その埋め合わせとして、社台ファームがさくらコマースへ無償で譲渡したのが、サクラハゴロモの初仔……つまりはサクラバクシンオーだったのである。
そんな経緯でデビューしたサクラバクシンオーだけに、周囲の期待は決して高くなかった。
結果的に将来、全戦で騎乗することになる主戦の小島太騎手がデビュー前は「G1なんて、夢のまた夢」と言えば、オーナーの全演植氏に至っては、ダート1200mのデビュー戦を5馬身差で圧勝した後でも「ドブネズミみたいな馬」と罵ったそうだ。当時は冬毛が生え残っていたこともあり、決して見栄えのいい馬ではなかった。
だが、腐っても母は天皇賞・春と有馬記念を勝ったアンバーシャダイの全妹である。芝初挑戦となった2戦目の黒竹賞(現1勝クラス)で2着に敗れたものの3戦目を勝ち上がり、サクラバクシンオーは当初、周囲から「クラシック候補」として名を挙げられていた。
そんなサクラバクシンオーだったが、皐月賞(G1)出走を懸けたスプリングS(G2)で2歳王者ミホノブルボンにぶっちぎられて、その夢を絶たれる。12着に大敗したこともあり、陣営はマイル以下の短距離路線に舵を切った。
サクラバクシンオーが次代のスピードスターとして頭角を現したのが、次走のクリスタルC(G3)だ。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
JRA 日本ダービー(G1)マルゼンスキーが干された「謎」に迫る……8戦8勝「合計61馬身差」で引退した悲運の怪物
JRA 単勝「227.3倍」波乱の使者ギベオンにデアリングタクト以上の強敵!? マイラーズC(G1)苦戦必至を予感させる厳しい現実……。
JRA 「新婚ホヤホヤ」森一馬、次代を担う若手有望株の意外な素顔! メイショウダッサイで絶対王者オジュウチョウサンを撃破、障害界に世代交代を告げる一陣の風
サイレンススズカ以来の「大差勝ち」再現も新潟開催に賛否の声!? 関係者も不安を募らせるJRAの判断
JRA ダートの怪物が武豊メイケイエールと激突の可能性!? 陣営も期待するスプリンターとしての素質、路線変更でデュランダルの血が目覚めるか