JRAの「隠蔽体質」が露呈した“不正受給”疑惑! 驚くような大物騎手が関与の噂も……、最終的に有耶無耶にせざるを得なかった裏事情とは
結局は戒告程度の有耶無耶な決着で幕引きを図った不正受給問題。JRAの最終的な判断としては「不正受給」ではなく「不適切受給」ということで、該当者の公表はされないままの甘い処分となっている。
指南役とされた大阪の男性税理士への処分も実質的になく、所有馬のワールドプレミアは天皇賞・春(G1)を制した。この結果を快く思わない声も一部で出たように、今回の一件は関係者や競馬ファンの感情に影を落とした。
JRAではデビューした騎手に税理士なども紹介するのだが、最近では周りの先輩騎手や調教師などに聞いて、JRAの紹介ではない人に頼むパターンも増えていたようだ。指南役とされる男性は馬主兼税理士でもあったため、調教師や騎手への関与も深まっていた。
そんな背景もあった中で今回の大規模な事態を招く結果に……。JRAサイドも二の舞は避けようと、今年デビューした新人騎手にはしっかりと今回の経緯を説明し、清廉潔白な税理士をつけるように促したらしい。このため、指南役とされる男性と関わる人物は減っていくと見られている。
「ただ、当の本人は相変わらず強気な様子です。先日、関東で預託していた矢野英一厩舎から所有馬を一斉に田村康仁厩舎へ転厩しました。矢野英師は男性に税理を任せており、懇意の仲と思われていましたが、今回の件を発端に馬の使い方などで意見がぶつかったようです。
男性から『ならば管理しなくて結構。他の人に任せます』となって即転厩の運びとなりました。結局のところは馬主の権限が強いのでこういった事も起きてしまいますよね」(競馬記者)
「本来はJRAも全てを公表したいと考えているようですが、それが出来ない事情もあります。その理由に、実は驚くようなビッグネームの騎手が不正受給しているのではないかとも噂されています。反響の大きさを考えると、とても怖くて出来そうにないというのが本音でしょう。
さらに言うと不正受給はしていませんが、申請を出して却下された騎手もいるので、そういうパターンも含めればかなりの数です。そういった人達に自粛を促したり、はたまたJRAから騎乗停止などの処分を下すと、競馬そのものが回らなくなるのは目に見えているからです」(関西の某TM)
その結果、背に腹は代えられぬJRAサイドとしては公表を控えることとなり、不正受給の騎手は守られた一方で、当該の税理士だけを処罰する事もできないまま、現在に至っているというのが裏事情のようである。
後藤正幸JRA理事長は「あってはならないこと」、日本騎手クラブ会長の武豊騎手は「今後このようなことがないようあらためて騎手全員に厳重に注意する」とコメントを出した不正受給疑惑。
失ってしまった信頼回復には、まだまだ時間が掛かりそうだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。