JRA 川田将雅に「捨てられた」クラシック候補の悲惨な現状!? 安田記念(G1)元ライバル・ダノンキングリー勝利で広がった格差、低迷続く実力馬の復活を望む声

ダノンキングリー 川田将雅騎手 撮影:Ruriko.I

 6日、東京競馬場で行われた安田記念(G1)は、川田将雅騎手と初コンビで挑んだダノンキングリーが勝利。昨年に続いて連覇を狙った女王グランアレグリアは、最後の直線で進路取りに手間取ったこともあり、アタマ差2着に敗れた。

 1年前、4馬身差で楽勝したヴィクトリアマイル(G1)から連勝を目論んだアーモンドアイの野望を撃破した舞台。最強マイラーの呼び声も高かったグランアレグリアだったが、翌年に自身も同じ目に遭うという意外な結末が待っていた。

 単勝オッズ1.5倍の大本命を破ったダノンキングリーは、これが嬉しいG1初制覇。昨年の安田記念で0秒8差の完敗を喫した女王相手に、1年越しのリベンジを成功させた。

 8番人気というキャリア最低で念願のG1タイトルを手に入れたダノンキングリーだが、いわゆるサートゥルナーリア世代の一角を形成していた元クラシック候補。世代トップクラスを牽引してきたこれまでの実績からは、むしろ“遅過ぎた”感すらある。

 その一方で、再び注目を浴びることになったのは、かつてのライバルだったヴェロックス(牡5、栗東・中内田充正厩舎)だ。

 19年のサートゥルナーリアが優勝した皐月賞(G1)でヴェロックス2着、ダノンキングリーが3着。次にロジャーバローズが優勝した日本ダービー(G1)でダノンキングリー2着、ヴェロックスが3着に入る大激戦。その後、故障や路線変更でライバルたちが回避した菊花賞(G1)にも出走したヴェロックスは、何としても最後の一冠を手にしたかったが、あえなくワールドプレミアの3着に敗れた。

 勝利にはあと一歩のところまで行きながらも、G1の高い壁に阻まれ続けたのはダノンキングリーもヴェロックスも同じような状況だったかもしれない。

 だが、古馬となってからの2頭は、正反対ともいえる道を歩んでいるのが現状だ。

 G1勝利こそなかったものの、ダノンキングリーは中山記念(G2)を勝利。3着に敗れたとはいえ、大阪杯(G1)で1番人気に押される活躍を見せていた。対するヴェロックスは、小倉大賞典(G3)で単勝1.4倍を裏切って9着に惨敗し、再び1番人気に支持された中日新聞杯(G3)を3着。2番人気で出走した今年の日経新春杯(G2)は9着と凡走してしまった。G3すら勝ち切れない現状では、G1制覇が遠ざかる一方である。

 振り返れば19年の皐月賞、ダービーで上位4着以内に入った馬の中で、いまだG1タイトルを手にしていないのはヴェロックスただ1頭。同期のダノンキングリーが安田記念を優勝したことで、翌週のエプソムC(G3)に出走を予定しているヴェロックスの復活も期待したいところだが……。

 今回、浜中俊騎手へと乗り替わるヴェロックス。これまで主戦を務めた川田騎手は、同じレースで他馬への騎乗を予定している。かつてのライバルをG1馬に導いた相手が元主戦騎手だったのは、ヴェロックス陣営にとってなんとも皮肉な結果だろうか。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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