JRA宝塚記念(G1)クロノジェネシス「グランプリ3連覇」に黄色信号!? 待ち受ける「魔のドバイ帰り」、そして“怖い”福永祐一騎手の存在
27日、阪神競馬場で開催される宝塚記念(G1)に昨年、春秋グランプリ制覇を達成したクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が出走。史上3頭目のグランプリ3連覇を目指す。
2歳時から世代屈指の実力を見せ、秋華賞でG1初制覇を果たしたクロノジェネシス。古馬になってからは、アーモンドアイら超一流馬を相手に揉まれてきた。今回は無敗のレイパパレが最大のライバルと目されるが、戦ってきた相手関係からクロノジェネシスが1番人気に支持されるだろう。
ファン投票1位の13万票以上を集めたクロノジェネシスだが、その状態面にも不安はなさそうだ。
「1週前追い切りで初めて乗ったルメール騎手も『乗りやすいし欠点がない』と自信を見せています。陣営もファンの期待に応えるべく、最終追い切りで100%の状態に仕上げてくるでしょう」(競馬誌ライター)
しかし、初めての海外遠征帰りという点が懸念されている。
「有馬記念(G1)の後は、3月にドバイシーマC(G1)に出走。最後の直線で見せたミシュリフ、ラヴズオンリーユーとの叩き合いは記憶に新しいところです。間隔(3か月)は十分空いていますが、激戦だっただけにその反動は気になります。宝塚記念では海外帰りの馬はあまり結果を残せていませんからね」(同)
実際に2000年以降のデータを見てみると、宝塚記念で海外遠征帰りの馬は「2-3-2-20」と冴えない。特に深刻なのが、ドバイ帰りの馬の「0-1-2-10」という成績。唯一の2着馬は16年のドゥラメンテだが、1番人気を裏切り、マリアライトに敗れてのものだった。
「同じ期間の香港帰りの馬の成績が『2-2-0-6』なので、同じ空路でもより長距離を輸送するドバイ帰りの馬の方が苦戦傾向にあります。競走馬にも人間同様、時差ボケもあると聞きますし、不安要素であることに間違いはありません」(同)
クロノジェネシスが「ドバイ帰り」のジンクスを覆せるかが一つの注目ポイントとなりそうだ。そしてもう一つ、クロノジェネシスにとって不気味な存在も……。
それがキセキと鞍上の福永祐一騎手である。キセキはこのレースで2年連続2着と相性抜群で、前走のQE2世C(G1)でも差のない競馬をしている。
7歳を迎え、大きな上積みは見込めないが、クロノジェネシスの2週前追い切りに騎乗したのが実は福永騎手だった。斉藤崇厩舎に所属する団野大成騎手が北海道に滞在していたため、騎乗経験も予定もない福永騎手が異例の代役を務め、自らその実力を確かめたのだ。
「さすが、いい馬。バランスがいいし、牝馬らしからぬパワーがある」とレースではライバルになるクロノジェネシスをほめちぎった福永騎手。2週前とはいえ、その背中から感じ取ったモノはあるはず。「打倒クロノジェネシス」に秘策があってもおかしくない。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。