JRAピンクカメハメハ「急性心不全」は騎手にとっても例外ではない!? トップジョッキーの「プロ意識」が呼び込む若手のチャンス、C.ルメールが北海道専門の裏事情
先週はピンクカメハメハ、ウンダモシタンが急性心不全で亡くなるというショッキングな出来事があった。ネット掲示板やSNSでは多くのファンが容態を案じ、突然の不幸を悲しむ声も相次いだ。
また、季節的にも気温が上昇するタイミングでもあり、レースで全力疾走する競走馬にとって過酷な環境になっている側面は否定できないだろう。
「土曜日は涼しかったけど、日曜日は蒸し暑い陽気になったことも影響していそうですね。季節の変わり目は体調の変化が起きやすくて、夏負けの症状を見せる馬も多くなる季節ですから。
今ではパドックや返し馬後の待避所にミストがあるし、レース後にはほとんどの馬がシャワーで体をクールダウンしてから引き上げるなど、関係者も気を使っています。ですが、完璧な対策というものはないので、難しいところです」(某調教師)
勿論、これは人間の方も例外ではない。特に夏競馬に突入すると騎乗数を制限する騎手が多く現れる。
暑さに弱いと噂されているのがC.ルメール騎手だ。近年では夏場は専ら北海道開催で騎乗している。重賞の騎乗依頼があっても福島や新潟、小倉での騎乗はほぼない。2年前にミッキーグローリーで参戦した関屋記念(G3)を勝つなどピンポイントでの参戦はあるが、これはかなりのレアケースである。
その時も一日中「暑い暑い」と言っていたらしい。数年前にもレパードS(G3)でエピカリスに騎乗するために新潟へ来たが、芳しくない結果に終わった。関係者によると「新潟は暑過ぎる!頭がボーッとして集中出来ないし、体にも良くないよ」と嘆いていたようだ。
もし、ルメール騎手が福島や新潟で乗るようなら、逆に相当な思い入れがあるか、能力を買っている証拠。ちなみに今年の夏は今のところ全て北海道での騎乗が濃厚と見られている。
「その他では暑さが苦手な大野拓弥騎手も夏の拠点を福島、新潟から北海道へ移すみたいです。彼も数年前に1日に10鞍くらい騎乗した際に体調不良になった事が原因で、拠点を変えています。
また、田辺裕信騎手や石橋脩騎手は福島、新潟を主戦場としていますが、騎乗数にはかなり敏感になっていますね。彼らは普段から1日に5、6鞍が自分のベストパフォーマンスを出せる乗り鞍と思っているため、夏場は騎乗数を減らしているみたいですよ」(某トラックマン)
実はこれには他の要因もある。6月以降は3歳馬が古馬に交じって戦うが、斤量面で恩恵のある3歳馬が圧倒的に有利。故に有力な3歳、特に牝馬の場合は基本52キロと軽量なので、いつも以上に体を絞らなければならない。
そのため、食事制限などで無理をすると、厳しい暑さの夏と相まって体調不良を引き起こしやすい。そういった事情もあって、夏場はトップジョッキーよりも体力があり、体重も絞りやすい若手騎手の活躍が目立っているのだろう。
今年デビュー組の若手騎手は小沢大仁、永野猛蔵を筆頭に総じてレベルが高い上に、岩田望来、西村淳也、菅原明良などはハイペースで勝ち星を積み重ねている。
夏場は体の調整が大変だが、コロナ禍の影響もあって短期免許の外国人騎手が来日できない昨今は若手にとって実力をアピールするには絶好の場だ。ここでしっかりと結果を出せば、横山武史騎手のように早い段階でG1を勝つチャンスが巡ってくるかもしれない。