女王クロノジェネシス凱旋門賞「鞍上」の行方は? 安藤勝己氏も絶賛、C.ルメールが宝塚記念で示した「無言のアピール」とは

 

宝塚記念を連覇したクロノジェネシスと、ガッツポーズするルメール騎手 撮影:Ruriko.I

 27日、阪神競馬場で開催された春のグランプリ宝塚記念(G1)は、1番人気のクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が勝利。史上3頭目となるグランプリ3連覇の偉業を成し遂げた。

「伝説」を残した史上最強牝馬アーモンドアイがターフを去って半年、1つ年下の新女王クロノジェネシスが正真正銘の現役最強の座に就いた。4月の大阪杯(G1)を勝利したレイパパレとの一騎打ちと見られたが、元JRA騎手の安藤勝己氏が言う「レベルが違う脚」でライバルたちを難なく差し切った。

 日本の頂点に立ったクロノジェネシスの次なる目標は当然、世界だ。本馬が所属するサンデーレーシングの吉田俊介代表が「これなら行ってもいい」とゴーサインを出した通り、日本競馬界の悲願となるフランスの凱旋門賞(G1)に挑む可能性が極めて高くなった。

 クロノジェネシスの凱旋門賞制覇が大きく期待されているのは、その能力も然ることながら、これまでの戦績や血統から重い欧州の馬場への適性が強く感じられるからだ。

 昨年の宝塚記念の6馬身差圧勝劇を始め、これまで雨で馬場が渋った時は4戦4勝と負け知らず。日本では珍しいレッドゴッド系の父バゴは2004年の凱旋門賞馬だ。

 日本で高いパフォーマンス示しながらも、欧州の馬場に泣いてきたこれまでの日本馬とは一線を画した存在だけに、日本の悲願達成に多くの競馬ファンが期待を寄せている。

 ただ、そうなってくると気になるのが、クロノジェネシスの鞍上問題だ。

 この日、代打騎乗で宝塚記念を勝利したC.ルメール騎手は開口一番、主戦の北村友一騎手へのメッセージを送る気遣いを見せている。本来であれば、北村友騎手が騎乗すべきだが、残念ながら5月に落馬負傷して戦線離脱中。復帰までには1年以上かかる見込みだ。

 そうなると、やはりフランスを母国とするルメール騎手が大本線となるが、この日の勝利騎手インタビューでは「誰が乗るのかはオーナーが決める」と話すに留めている。また、サンデーレーシングの吉田俊代表からも鞍上に関する具体的な発言はなかった。

「安藤勝己さんも『凱旋門賞につながる内容』と絶賛していましたが、この日のルメール騎手の騎乗は凱旋門賞での戦いを意識したものだったのかもしれません。

というのも北村友騎手が騎乗した昨年の宝塚記念や有馬記念(G1)で見せた騎乗は、中団やや後方から早めに先団を捉えに行く、いわばまくりのような競馬。それは宝塚記念の阪神や、有馬記念の中山のレースを勝つために有効な戦法です。

ただ、直線の長い競馬場が多い欧州では、まくりの競馬はほとんど見られませんし、凱旋門賞が行われるパリロンシャン競馬場は、まくりを仕掛ける勝負どころのコーナーにフォルスストレートと呼ばれる短い直線が存在するため、まくりを仕掛けることが極めて難しい舞台になっています。

今回ルメール騎手が見せた4番手からの正攻法は、凱旋門賞を戦う上で戦法に幅を持たせたる騎乗でした。そういった意味でも無言のアピールになったと思いますし、非常に意義のあるレースだったと思います」(競馬記者)

 日本ではもちろん、欧州でも数々の大レースを制した実績のあるルメール騎手だが、母国フランス最高のレース凱旋門賞を勝ったことはない。それだけにルメール騎手にとって、凱旋門賞制覇は夢ではなく、大きな目標の1つだ。

「一昨年のJRA主催の札幌セミナーで、ルメール騎手が『叶えたい一番の夢は、凱旋門賞を日本の馬で勝つこと。今まで勝てていないので、日本馬で勝てたら引退します』と話してたのを覚えています。もちろん冗談ですが、ルメール騎手にとってはそれくらい思い入れの強いレース。なんとしてもクロノジェネシスと共に欧州へ挑戦したいと願っていると思いますよ」(同)

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