キーファーズ所有馬ブルームのG1制覇で武豊とコンビ濃厚か!? クロノジェネシスらJRA勢「悲願」の凱旋門賞(G1)制覇に難敵出現
現地時間4日、フランスのサンクルー競馬場ではサンクルー大賞(G1)が行われ、ハナを切った2番人気ブルーム(牡5歳、愛・A.オブライエン厩舎)が後続の猛追を振り切り、嬉しいG1初制覇を飾った。
ブルームの鞍上を務めたのはコリン・キーン騎手。日本では無名のジョッキーだが、2017年には23歳の若さでアイルランドのリーディングジョッキーに輝き、昨年も同タイトルを獲得した。今年は2位に約2倍となる勝ち鞍を挙げているように、アイルランドで今最も勢いのある若手騎手だ。
そのキーン騎手がサンクルー大賞で身に纏っていたのは日本でもお馴染みのキーファーズの勝負服。キーファーズの松島正昭代表がクールモアグループと共同で所有するブルームの勝利に、現地メディアも「ブルームが凱旋門賞へ進む」と大きく取り上げたという。
「前走から中1週、しかもイギリスからフランスへの遠征でコンディション面が心配されましたが、まさに完勝でしたね。道中は後ろの馬に絡まれることもなく、理想的なペースで進みました。最後の直線も脚色は衰えず、スタミナのあるところも証明しました。
次走は未定ですが、『凱旋門賞を狙う』と陣営もコメントしているようです。キーファーズの馬ですから、本番ではあの騎手が騎乗するかもしれませんよ」(競馬誌ライター)
あの騎手とはもちろん、武豊騎手のことだ。常々、凱旋門賞制覇を最大の目標に掲げ、06年のディープインパクト(失格)を皮切りに、これまで大舞台を5度経験している。最高着順は、13年キズナの4着で、昨年は同じくキーファーズが共同所有するジャパンに騎乗を予定していた。ところが、同馬が禁止薬物に陽性反応を示し、直前に無念の出走取消となっていた。
「昨年はすでに現地入りをした後に、出走取消が決まり、武豊騎手は6度目となる大舞台に参加することすら叶いませんでした。今年はケガの影響などで成績を落としていますが、キーファーズからの信頼は厚く、今年はブルームとのコンビで参戦する可能性は高いと思いますよ」(同)
もし武豊騎手が凱旋門賞でブルームに騎乗するとなれば、JRA勢にとっても怖い存在となるかもしれない。
今年の凱旋門賞には、先日の宝塚記念(G1)を制したクロノジェネシスを筆頭に、レイパパレやディープボンドなど6頭の日本馬がすでに登録を済ませている。特にグランプリレース3連覇中のクロノジェネシスは、父が凱旋門賞馬のバゴということで、その期待は大きい。
「もしブルームとクロノジェネシスが最後の直線で追い比べになったら……。そんな夢のようなシーンも想像してしまいますね。でも、実際にそんなことになったらどっちを応援したらいいのか、複雑な気持ちになりそうです(笑)」(同)
競馬ファンとすれば、武豊騎手が日本馬に騎乗し、凱旋門賞を制覇。それが一番の理想だが……。この秋、JRA勢の悲願に立ちはだかるのは、もしかすると武豊騎手になるかもしれない。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。