JRAダノンプレミアムが川田将雅と歩んだ天国と地獄! フジキセキ2世から転落した早熟の天才に待ち受ける過酷な運命、惜しまれるのは2年前の不可解ローテ
3年前のクラシックを大いに沸かせたダノンプレミアム(牡6、栗東・中内田充正厩舎)の引退が決まった。今後は種牡馬入りすることが決まっており、繋養先は未定とのこと。
同馬の成績は15戦6勝。2019年に亡くなった父ディープインパクトの後継種牡馬としても期待は大きい。
その一方で、デビュー当初のダノンプレミアムの評価からは、現在の成績は少しばかり淋しさを感じずにはいられないことも確か。
17年の6月に阪神でダノンプレミアムは、川田将雅騎手を背に4馬身差の鮮烈なデビュー勝ち。次走のサウジアラビアRC(G3)を1分33秒0のレコードで制し、重賞初制覇を決める。勢いそのまま、朝日杯FS(G1)では後のマイルCS優勝馬ステルヴィオを相手に3馬身半差の大楽勝を演じた。この年の最優秀2歳牡馬に選ばれたのも当然といえる好成績を残している。
そして、3戦無敗で迎えた翌年の復帰戦に陣営は弥生賞(G2)を選択する。初の芝2000m戦となったここでも初対決のワグネリアンを一蹴した。朝日杯FS、弥生賞を挟んでの4戦4勝という成績は1995年に幻の三冠馬の呼び声も高かったフジキセキと酷似。ダノンプレミアムに対しても同等か、もしかしたらそれ以上の期待が寄せられたのも当然だった。
しかし、皐月賞前に屈腱炎を発症して引退へと追いやられたフジキセキと同様に、ダノンプレミアムにも思わぬ誤算が生じてしまう。右前脚の挫跖が判明したことにより、調整不足となったため、陣営からは出走回避が発表されたのである。
ここから順風満帆にも思えたダノンプレミアムの競走生活は、徐々に歯車が狂っていく。
日本ダービー(G1)で復帰したものの、1番人気に支持されながら6着と完敗。最後の直線で好位から伸びを欠いた走りに距離延長への不安も露呈。秋の復帰戦に天皇賞(G1)を予定したものの調整が間に合わず、マイルCS(G1)も爪の不安で出走することはなかった。
結局、秋に1戦もすることなく放牧へ出され、ダービーから9カ月ぶりに姿を見せたのは、19年の金鯱賞(G2)だった。このレースでは、まだ本格化前だったとはいえ後にグランプリ連覇をするリスグラシューを撃破。続いてマイラーズC(G2)でもインディチャンプを退け、再び軌道に乗るかに思われた矢先、ダノンプレミアムに二度目の誤算が待っていた。
復帰から3戦目に選ばれた安田記念(G1)で、ダノンプレミアムはアーモンドアイに続く2番人気の支持を受ける。下馬評でも現役トップクラスの実績を誇る2頭の一騎打ちになるのではないかと考えられていたレースだったが、スタート直後に大外枠からロジクライが急激に内へ切れ込んで斜行。これにより致命的な不利を受けたアーモンドアイは3着、リズムを狂わされたダノンプレミアムは最下位に終わる屈辱を味わった。
秋に立て直しを図るも天皇賞ではアーモンドアイに3馬身差の完敗、マイルCSでもインディチャンプの2着、初めて川田騎手が手綱を譲った翌春のクイーンエリザベスS(G1)でも3着と振るわなかった。以降は安田記念13着、天皇賞・秋4着、香港C(G1)4着、安田記念7着と、馬券圏内に入ることなく競走生活に別れを告げることとなる。