JRA 武豊アスクワイルドモア、新人騎手の「神逃げ」に5馬身差完敗デビュー……明暗分かれたキズナ産駒。千葉サラブレッドセール高額2位の注目馬破れる
11日、函館競馬場で行われた5Rのメイクデビュー函館は、小沢大仁騎手が騎乗した7番人気の伏兵エクラノーブル(牝2、栗東・浅見秀一厩舎)が優勝。2着に2番人気アスクワイルドモア、1番人気に支持されたヒシアラカンは3着に敗れた。
勝ったエクラノーブルはキズナ産駒で母ノーブルステラ、母の父モンズンという血統。夏の函館でまた楽しみな1頭が登場した。
「道中も力まずに自分のペースで走れました。後ろから他の馬が来たらハミを取って走ってくれたし、直線も指示を出すとすぐに反応してくれました」
小沢騎手がそう振り返ったように、これがデビュー戦とは思えないほど、余裕のある走りだった。
12頭立ての芝1800m戦。内から好スタートを決めた小沢騎手は、エクラノーブルを促して先頭を奪いに行く積極策。これに外からウインイノセンスが競り掛けようとするが、前との差が詰まらずに3番手からの競馬に切り替え。これを制してチョッピーが2番手に上がる。
エクラノーブルは後続との差を2馬身から3馬身ほどキープしながら、1000m通過63秒5のマイペースの逃げに持ち込むことに成功。後続は3コーナー手前から追い上げ始めるが、一向に差は詰まらない。
最後の直線に入っても、余裕十分の手応えで逃げるエクラノーブルの独走は終わらない。ゴールでは2着アスクワイルドモアに5馬身の差をつける圧勝だった。
「デビュー戦の体重は416キロと小柄ですが、いいスピードを持っていそうですよ。後続を引き付けながらの逃げ切り勝ちと渋い内容でした。一度は詰め寄られるシーンもありましたが、二段ロケットで突き放したのはさすがです。
また、1800m戦で楽勝したので距離延長も問題なさそうな雰囲気です。スピードとスタミナのバランスも良く、次走でも期待できそうですね」(競馬記者)
一方、アスクワイルドモアにとっては、ほろ苦いデビューとなった。今年の千葉サラブレッドセールで2番目に高い6310万円で落札された素質馬。手綱を取るのは武豊騎手と期待も大きかったが、今日は流れも向かなかった。道中は押っ付けながらの追走で、ヒシアラカンとの2着争いを制するのが精一杯だった。
同じキズナ産駒で明暗は分かれたが、レース前には陣営も「促さないといけないところや、前進気勢がまだないところは、1回使えば良くなる」とコメントしていたように、アスクワイルドモアも、まだまだ成長途上。
次走でも引き続き好戦を期待できそうだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。