JRAバカラクイーン”神走”も「元主戦」藤田菜七子“サンドイッチ”惨敗……「最初に寄られた」アイビスSD(G3)セピアノーツは挟まれ「10秒足らず」で終戦

 25日、新潟競馬場で行われたアイビスサマーダッシュ(G3)は、1番人気の3歳牝馬オールアットワンスが優勝。逃げた2番人気のライオンボスをゴール前で鮮やかに差し切った。

 外枠が圧倒的に有利と言われる新潟の直線競馬で、ワンツーを決めたのはどちらも2桁馬番を引き当てた人気馬。メンバー屈指の千直実績を誇るライオンボスは、ハナを主張して外ラチを確保する狙い通りの競馬を見せた。一方、勝ったオールアットワンスは、外ラチにはこだわらなかったものの、外目に進路を取り、最後は馬群の真ん中を割って鋭く伸びた。

 その2頭の陰で、絶好枠を生かせなかったのが8枠15番セピアノーツ(牝3歳、美浦・青木孝文厩舎)だ。勝ったオールアットワンスと同じ51kgと斤量に恵まれ、鞍上には千直得意の藤田菜七子騎手。同馬の唯一の勝ち鞍が千直ということも手伝って、単勝18.3倍の8番人気という実績を大きく上回る支持を集めた。

 昨年10月の2歳未勝利戦を55秒7の好タイムで逃げ切ったセピアノーツだが、その後はローカルの1200mで3戦し、15着、15着、13着と惨敗続き。15番という絶好枠に加え、1戦1勝という“コース実績”を加味しても8番人気は明らかに過剰気味だった。

 セピアノーツを支持したファンとすれば、昨秋のようにハナを奪って外ラチ沿いを逃げてくれることが共通の願いだったはずだ。しかし、スタートから10秒足らずで、それは叶わぬ願いとなってしまった。

「最初に寄られたところがあって、位置を下げてしまいました。自己条件ならまた頑張ってくれると思います」とは、レース後に藤田騎手の言葉だ。

 五分のスタートを切ったセピアノーツ。藤田騎手は、必死に気合をつけてハナを奪おうとした。好走するにはそれしかなかったはずだ。しかしハナに立ったのは実績馬のライオンボス。この時、セピアノーツは内のオールアットワンスと外のルドラクシャに挟まれ窮屈になり、位置を下げざるを得なくなってしまった。

 こうなると、格下のセピアノーツが太刀打ちできないのは火を見るよりも明らか。結局、オールアットワンスから1秒5離された13着に終わった。

「先週の福島で、約2か月ぶりの勝利を挙げた菜七子騎手。得意の新潟、特に千直のコースは通算10勝しており、期待がかかりました。斤量51kgを生かして逃げの手を打てれば、面白い存在だったのは間違いありません。それだけにサンドイッチのように両サイドに挟まれてしまったのは痛恨でした」(競馬誌ライター)

 このレースでは、もう一つ藤田騎手にとって悔しい出来事もあった。1~2番人気で決着するなか、3着に飛び込んだのは14番人気のバカラクイーンだったのだ。他の15頭が一斉に外へと殺到するなか、菅原明良騎手はスタートから内ラチ沿いを走る奇策を披露。場内を沸かせる見事な騎乗で3着に粘り込んだ。

 実は、このバカラクイーンの主戦を務めていたのが藤田騎手だ。アイビスSD以前の26戦中11戦で手綱を取り、前走のさくらんぼ特別(2勝クラス)でも騎乗して7着に敗れていた。

 この週末はアイビスSDを含め、6戦すべてが着外、うち5戦は2桁着順という残念な結果に終わった藤田騎手。先週の2勝で勢いを掴んだようにも思えたが、苦難はまだ続きそうだ。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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