JRAも後悔!? “幻の菊花賞馬”怒涛の3連勝に「本番で見たかった」の声……「この馬が1番強いと思っていた」能力は、すでに重賞級
20日、阪神競馬場で10R・尼崎S(3勝クラス)が行われ、菱田裕二騎手のテーオーロイヤル(牡3歳、栗東・岡田稲男厩舎)が勝利。先月まで1勝クラスの身だった馬が、怒涛の3連勝でオープン入りを決めた。
前走、菊花賞除外の憂き目に遭ったテーオーロイヤルは、同じく除外になった馬たちと菊花賞前日の兵庫特別(2勝クラス)へ出走。「残念菊花賞」とも一部で呼ばれたレースを、悠々と逃げ切ったことが評価されて、単勝オッズ2.2倍の1番人気でレースへ臨んだ。
11頭立てで争われた芝2400m戦。大外11番からスタートした同馬は、まずまずのスタートを切ると、出たなりの4番手でレースを進める。少頭数ながら逃げ馬ら先行勢が軽快に飛ばして馬群が縦長になるが、淡々と追走に専念する。
勝負所の4コーナーで菱田騎手に促されて、徐々に先団へ接近。先頭を射程圏内に入れると、ステッキが1発、2発と入り、先行馬を一気に飲み込んで先頭に。3着争いが精一杯な後続馬を尻目に、2馬身半差の快勝をおさめた。
同馬と組んで今回が6戦目となる菱田騎手は「相手がどうこうよりも、この馬のリズムを守ることを重視しました。そうすれば、勝てると思っていましたし、この馬が1番強いと思います」と、自信満々で臨んだことをレース後に明かした。
あまりの強いレース内容に、レースを観戦したファンからは「菊花賞で見たかった」「幻の菊花賞馬」といった声がSNSやネット上の掲示板を通じて上がった。
「今回のレースは、開催後半で芝が所々傷んで時計が掛かる馬場ながらレコードにコンマ8秒差と優秀な走破時計でした。
オープンクラスでも好勝負が期待できる強い内容でしたから、『菊花賞に出走できていれば、いい勝負ができたかも』と思う方々がいても不思議ではありません」(競馬記者)
ただ、テーオーロイヤルが勝ったレースはあくまでも自己条件のレース。重賞などの強い相手と対決していないため、「幻の菊花賞馬」は絵空事と捉える方もいるだろう。
しかし、テーオーロイヤルは、現時点で唯一の重賞挑戦となった5月の青葉賞(G2)でも15番人気ながら首位とコンマ1秒差の4着に好走している。
「青葉賞では現在と異なりスタート後に行き脚がつかず、後方からの追走を余儀なくされていました。ただ、3コーナーから4コーナーにかけて徐々に外から進出を開始すると、直線では大外から一気に前を飲み込む勢いで脚を伸ばしています。流石に最後は末が甘くなって、経済コースを上手に通った上位馬に負けてしまいましたが、見所十分でした。
当時は『不器用ながら能力を秘めた馬』という印象でしたが、休養を挟んで馬が成長。二の脚も速くなって、競馬が上手になりました。今のテーオーロイヤルなら、菊花賞でも好勝負になっていたかもしれません」(同)
半兄は現在4戦連続連対中で、先日のみやこS(G3)を制したメイショウハリオ。波に乗ると止まらない血統のテーオーロイヤルが、勢いそのままに下剋上を果たす日はそう遠くないかもしれない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……