JRA 武豊、事実上「降板」の可能性も……ノーコントロールで大暴走「あの有力馬」が福永祐一騎手と新コンビで暮れのG1出走へ
先週20日の東京スポーツ杯2歳S(G2)に武豊騎手とのコンビで出走、6着だったアルナシーム(牡2歳、栗東・橋口慎介厩舎)。次走は、来月19日に阪神で開催される朝日杯FS(G1)を予定していることが分かった。なお、鞍上は福永祐一騎手と新コンビを結成するという。
同馬は今年7月、函館芝1800mで武豊騎手を背にデビュー。スタート一息で後方からの競馬になるも、向正面で外に持ち出されると3、4コーナーでひとまくり。直線はノーステッキで後続に2馬身の差をつける快勝を収め、一躍クラシックの有力候補へと名乗り出た。
約4ヶ月半の休養を挟み臨んだ前走の東京スポーツ杯2歳Sは、3番人気に支持されるもバックストレッチで折り合いを欠き、最後方から一気にハナへと立つ“暴走”。スタミナのロスが響いて最後は失速し6着に敗れた。乗っていた武豊騎手はレース後、「ノーコントロールだった。もったいない競馬になってしまった」とコメントしている。
その武豊騎手は、朝日杯FSではアイビーS(L)の勝ち馬であるドウデュースに騎乗を予定している。そのため、新たなパートナーとして福永騎手に白羽の矢が立ったわけである。
だが、この乗り替わりには他にも意味が隠されているかもしれない。
「武騎手は事実上、降板となってしまった可能性も考えられますね。というのも、アルナシームはまだ1勝馬のため、同騎手とのコンビ継続にこだわるのであれば、G1ではなく他に都合のつく自己条件に回るなどの選択肢もあったと思われます。
それをせずに、武騎手が乗れないと分かった上で朝日杯FSに出走を予定するということは、陣営は前走の結果等を踏まえた上で、騎手の乗り替わりを検討したということなのかもしれません。武騎手に先約のあるレースであれば、鞍上をスイッチしたとしても表向きは角が立つこともありません」(競馬誌ライター)
前走で人気を裏切ったとはいえ、アルナシームは近親に今年の日本ダービー(G1)を勝ったシャフリヤールや、G1・2勝のアルアインがいる良血馬。父は現役時代にマイルG1・4勝を挙げたモーリスでもあり、朝日杯FSでの1ハロンの距離短縮は見事にハマるかもしれない。出走するようなら引き続き有力候補の1頭として、武騎手とドウデュースの前に立ちはだかりそうだ。
「なお、武騎手から福永騎手に乗り替わり、天皇賞・春(G1)を勝ったワールドプレミアは、前走の天皇賞・秋(G1)では武騎手が空いていたにもかかわらず、鞍上には福永騎手と同じ小原靖博氏がエージェントを務める岩田康誠騎手が選ばれました。
同じように武騎手から福永騎手に替わりとなるアルナシームも、今後は小原氏が仲介役を務める福永騎手や岩田康騎手、岩田望来騎手が主戦となることも予想されます」(同)
ちなみアルナシームは、東スポ杯で7着のグランシエロとは半馬身差。ドウデュースはアイビーSで同馬とはクビ差だった。グランシエロをものさしにして考えると、アルナシームの方がドウデュースよりも若干リードしていると考えられなくもない。
果たして“暴走”の代償は高く付いてしまうのだろうか。レースが開催される当日までもうしばらく待ちたい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。