阪神JF(G1)「日曜に分かる」C.デムーロがナミュールと勝利宣言!? 超抜追い切りに隠し切れない自信とノーザン“見え見え”の勝負気配
もしかしたら相当な大物なのかもしれない。
そう感じずにはいられない逸材とは、12日に阪神競馬場で開催される阪神JF(G1)に出走を予定しているナミュール(牝2、栗東・高野友和厩舎)のことだ。
栗東の坂路で行われた8日の最終追い切りでは、2歳未勝利馬と併せて4F54秒0-ラスト11秒8の好時計をマーク。弾むようなフットワークで併走馬を2馬身半置き去りにした。
阪神JFで初コンビとなるC.デムーロ騎手だが、パートナーとの初コンタクトに「すごくいい感じ」と好感触。どうやらかなりの手応えを感じたようだ。
リップサービスはそれだけに終わらず、「重賞を勝てる馬。日曜に分かります」とまで豪語したのだから、世界的名手がそれほどまでの評価をしたナミュールのポテンシャルの高さが伝わってくる。
ただ、9月中京にデビュー勝ちした芝1600m戦の内容は、これといって目立ったものでもなかった。
「性格のいい子ですべてを上手にこなしてくれて、その分しっかりとした内容のある競馬をしてくれました」
このとき手綱を取った川田騎手がレース後に残したコメントも、どちらかといえば当たり障りのない内容というか、特別衝撃を受けたわけでもない程度のニュアンス。2番手から上がり3ハロン33秒3の末脚で2着馬に2馬身の差をつけたとはいえ、勝ち時計が1分39秒0と平凡なタイムだったことを考えれば、不思議ではないだろう。
しかし、この馬の評価を一変させたのが、前走赤松賞(1勝クラス)での圧勝劇だ。過去、スティンガー、アパパネ、アカイトリノムスメなどのG1馬を輩出と、ちょっとした出世レースでナミュールは瞬く間に注目馬の1頭へ成り上がった。
特筆すべきはそのレース内容の優秀さである。勝ち時計の1分33秒8だけでなく、上がり3ハロン33秒0は、今秋の東京開催で2歳馬が出走した全21レース中トップというものだった。
「柔らかくてバネがある馬です。直線の反応も素晴らしかったです。前走の経験が生きているのだと思います。本当に全てに関して優等生です」
このレースが初騎乗だった三浦皇成騎手もまた、「すべてを上手にこなしてくれた」と評した川田騎手同様に「すべてに関して優等生」と驚かされている。
加えて先述した全21Rの中には、2歳重賞であるアルテミスS(G3)やサウジアラビアRC(G3)も含まれていることも大きな強調材料である。開催日は異なるものの、サウジアラビアRCの勝ち時計1分36秒4に対し、これを2秒6も上回った。
またナミュール自身も、中京と東京で舞台は異なるとはいえ、デビュー戦の1分39秒0からなんと5秒2も時計を大幅短縮しているのだ。
「赤松賞がとにかく素晴らしかったので、レースを見ていないファンにはぜひチェックしていただきたいです。スタートで失敗して後ろからになったのですが、直線外から凄まじい勢いで伸びて来たのがナミュールでした。
このときは、マイペースのスロー逃げに持ち込んだパーソナルハイの完全な勝ちパターンだったにもかかわらず、楽に交わしてゴール前では流していたほどです。この馬はちょっと『モノが違うぞ』と感じましたよ」(競馬記者)
前走は、出遅れて後ろからの競馬になったが、デビュー戦では2番手からの楽勝だったように自在性もある。
元々、川田騎手に任されていたことから期待馬であることも分かる。赤松賞は、マイルCS(G1)の裏開催となったため、おそらく三浦騎手は代打で騎乗することになったのだろう。
そして今回、香港に遠征する川田騎手に替わって、白羽の矢が立ったのは短期免許で来日中のC.デムーロ騎手。ディープボンドをフォワ賞(仏G2)優勝に導いた手腕は、日本でも拍手喝采の賛辞を受けた。そんな世界的名手にとって、阪神芝1600mのG1は、13年の桜花賞をアユサン、18年の阪神JFをダノンファンタジーで優勝した得意舞台でもある。
日本の競馬界をリードするノーザンファームが外国人騎手を配したということは、勝負気配が“見え見え”。ここは絶好の買い時だといえる。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。