JRA「G1完全制覇」リーチの武豊もお手上げ!? 遅れてきたディープインパクト産駒「異色の大物候補」が好タイムで圧巻V!
19日、阪神競馬場で行われた朝日杯FS(G1)は、武豊騎手のドウデュースがV。先週の阪神JF(G1)では弟・武幸四郎調教師が管理するウォーターナビレラで敗れたが、今週はしっかりと勝利。JRAの平地G1完全制覇に王手をかけた。
残る1つである年末のホープフルS(G1)は、札幌2歳S(G3)2着アスクワイルドモアへの騎乗が想定されており、大いに注目が集まるだろう。
そんな武豊騎手であるが、この日は7Rの1勝クラス(芝1800m)でも弟の幸四郎師の管理馬であるシーニックウェイに騎乗。レースでは1番人気に推されたが、惜しくも差し届かずに2着に敗れた。
このレースで武兄弟を破って勝利を収めたのが、3番人気に支持されたディープインパクト産駒サトノペルセウス(セン3歳、栗東・藤原英昭厩舎)だ。
伊1000ギニー(G3)勝ち馬を母に持つ同馬は、2019年のセレクトセールにて1億6000万円(税抜)の高値で取引された。昨夏に入厩してからは、オープン馬のグレートタイムらに調教で先着していたことから、後にダービー馬となるシャフリヤールらと並び、厩舎のエース候補として期待されていた。
しかし、一度も出走することなく今年5月に中央登録を抹消されると、ホッカイドウ競馬に転厩。デビュー戦となった8月の門別ダート1200mを9馬身差で圧勝すると、2戦目の1000m戦でも後続に7馬身差をつけて快勝。中央再転入の条件を満たしたことで、10月に藤原英厩舎に復帰していた。
再転入初戦で3着だった前走に続き、藤岡佑介騎手が騎乗した今回は、6枠11番から好スタートを決めたが、逃げた前回とは打って変わって好位に控える競馬。行きたがる素振りも見せながら、道中は5番手をキープした。
逃げたミリタリータンゴが飛ばしたことで、1000m通過は58秒9のやや速い流れ。おまけに背後には武豊騎手が乗る1番人気のシーニックウェイが虎視眈々と控えている。
だが、馬場の5分どころに持ち出されたサトノペルセウスは直線でも力強い伸び脚を披露。ラスト1ハロンで完全に抜け出すと、追い上げてきたシーニックウェイに1馬身半の差をつけて完勝した。
「逃げたミリタリータンゴが飛ばしたため、先行勢にはやや厳しい流れとなりましたが、サトノペルセウスはそれをものともせずの快勝でした。もともと期待が高かった大物候補ですが、ついに才能を開花させた印象です。
1番人気のシーニックウェイも完璧な立ち回りでしたが、勝ち馬に好位からあの脚を使われてしまったのでは、乗っていた武豊騎手もお手上げだったかもしれません」(競馬誌ライター)
ちなみに勝ち時計の1分45秒9は、10月9日から始まった秋の阪神競馬の芝1800m戦で3番目の好タイム。チャレンジC(G3)4着のジェラルディーナが西宮S(3勝クラス)で記録した1分46秒1よりも速かったなら、昇級してもほぼ問題ないだろう。
紆余曲折を経て中央に戻ってきたディープインパクト産駒の、今後の走りに注目しておきたい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。