JRA武豊期待のオークス候補「故障離脱」で新種牡馬に「欠陥」疑惑!? 種付け料7倍の高騰も、マルゼンスキーやアグネスタキオンも苦しんだ負のイメージ

武豊騎手

 6日、昨秋の野路菊S(OP)を勝ったロン(牝3歳、栗東・石橋守厩舎)が右前脚の屈腱炎を発症していたことがわかった。馬主であるキーファーズの公式ホームページで発表されている。

 昨年8月のデビュー戦を武豊騎手とのコンビで完勝すると、続く野路菊Sでは4馬身差の勝利。牝馬ながら2000mを続けて圧勝したことで、今年のオークス(G1)の有力候補とみられていたが無念のリタイア。「年内に自己条件を使えれば」という石橋調教師の言葉からも、半年以上の休養を余儀なくされそうだ。

 年明け早々のショッキングなニュースに、ネット上の競馬ファンからも「残念」といった声が殺到……。今年のクラシックを盛り上げる役者がいなくなってしまったこともあるが、中でも特に目立ったのが「父シルバーステートの二の舞」というワードだ。

 ロンの父シルバーステートは、三冠馬コントレイルなど数々の名馬の背中を知る福永祐一騎手が「No.1」と評価するほどの名馬だった。

 しかし、「そのエンジンの性能にボディがもたなかった」という言葉通り、クラシックを前に屈腱炎で無念の戦線離脱。一度は復帰して連勝を飾ったが、屈腱炎を再発して引退した「未完の大器」である。

 奇しくも、そんな父と同じような運命をたどってしまったロンだが、同じように“痛い”のが新種牡馬としてスタートを切ったばかりのシルバーステートだという。

「大昔で言えば『スーパーカー』といわれたマルゼンスキー、一昔前では『異次元』といわれたアグネスタキオンでしょうか。

現役時代に、それこそ『無敵』と言えるほどの桁違いのパフォーマンスを発揮しながらも、故障で引退してしまった種牡馬の中には、産駒にもその脚元の脆さが伝わってしまうケースがあるそうです。

シルバーステートも福永騎手があれだけ絶賛していた馬ですし、何度も故障に泣いた馬。種牡馬入りした時から、一部のファンから脚元を心配する声がありましたが、今回のロンの故障離脱にファンがより敏感に反応してしまっているのかもしれません」(競馬記者)

 昨夏デビューした初年度産駒のウォーターナビレラがファンタジーS(G3)を勝ち、2歳リーディングでも9位と順調なスタートを切ったシルバーステート。現役時代に重賞勝ちがなかった分、初年度の種付け料は80万円(受胎条件)だったが、今年は600万円とわずか4年で7倍以上の伸びを見せている。

 そんな最中で起こった有力産駒ロンの故障は、脚元の脆さに泣く現役生活を送ったシルバーステートにとっては、大きな暗雲と言えるのではないだろうか。

「ネット上のコメントでも『令和のアグネスタキオン』といった心配の声が上がっていました。

ただ、昨年12頭の産駒が勝ち上がったシルバーステートですが、現在故障によって長期離脱を余儀なくされているのは調べた限りではロンと、タミオスターの2頭だけ。これだけを見ると、今のところ脚元に大きな問題がある種牡馬とは言えないと思います」(競馬誌ライター)

 昨年、新種牡馬として順調なスタートを切ったシルバーステートにとって、今年は初のクラシックを戦う一年になる。父の果たせなかった参戦はもちろん、稼ぎ頭のウォーターナビレラを筆頭にクラシック制覇も期待される中、“欠陥”種牡馬のレッテルは勘弁願いたいところだ。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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