JRA「ビックリするぐらい状態はいい」武豊の元クラシック候補が異例の挑戦!? ディープインパクト産駒でも「大丈夫」なワケとは
23日、中京競馬場で中央競馬唯一のダートG2の東海Sが行われる。
今年は昨年の覇者オーヴェルニュ、地方所属の強豪サウスポー・サルサディオーネをはじめフルゲート16頭を2頭上回る18頭がエントリー。
登録各馬がダートで好成績を積み上げているなか、異色を放っているのが明け8歳で初のダート戦となるカデナ(牡8歳、栗東・中竹和也厩舎)だ。
2016年9月に武豊騎手を背にデビュー。その後、福永祐一騎手に替わって4戦目の京都2歳S(G3)で重賞初勝利を挙げると、休養を挟んで挑んだ弥生賞(G2)も勝利。重賞連勝の能力が評価されて、皐月賞(G1)では3番人気に支持され、一躍クラシックの主役候補となった。
しかし、クラシック1冠目を9着に躓くと日本ダービー(G1)も惨敗。その後は2年近く鳴かず飛ばず。ようやく20年に小倉大賞典(G3)優勝など、ローカル重賞で存在感を放つも、現在8戦連続着外と低迷が続いている。
そんな現状を打破すべく、陣営はダートに新境地を見出そうと出走を決意したのではないだろうか。
ただ、本馬の父は芝が主戦場だったディープインパクトだ。産駒も父の特徴を色濃く継いでおり、芝で活躍馬を多く輩出する一方で、ダートでの活躍馬はほとんどいない。
芝のG1で圧倒的な好成績を収めてきたディープインパクト産駒だが、ダート重賞は2勝のみ。それぞれの成績を考慮すると、産駒の特徴としてダートが苦手であると言わざるを得ない。
それだけに、ダート挑戦に否定的な意見が目立つ一方で、ある競馬記者は今回の挑戦を、むしろ好意的に捉えているようだ。
「カデナのダート参戦は面白いと思いますよ。ディープインパクト産駒はダート重賞を2勝しかしていませんが、カデナは同産駒の重賞勝利条件に合致するのです。
2勝の内訳は、11年のレパードS(G3)優勝のボレアスと18年のJBCレディスクラシック(G1)優勝のアンジュデジールになりますが、この2頭はともに母の父がフレンチデピュティです。そして、カデナも母父がフレンチデピュティなんです。
またカデナの兄弟はダートで目立った活躍を挙げていませんが、走る下地はあるでしょう。半兄に種牡馬のスズカコーズウェイがいますが、同馬の産駒の平地37勝全てがダートです。スズカコーズウェイ自身はダート5戦未勝利とはいえ、産駒がこれほどダート中心に走っていることを踏まえると、血統的にはダートは合っているといえます」(競馬記者)
今回の挑戦に関して中竹厩舎のスタッフは『サンケイスポーツ』の取材に「やってみないと分からない」としつつも「ビックリするぐらい状態はいいし、年齢を感じさせないね」と、好調をアピール。それに記者の考える「ダート適性」の高さが加われば、アッと驚く激走があるかもしれない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……