JRA出資者が悔やむ横山武史の油断騎乗、エフフォーリア弟に競走生活を左右する「重症」発覚!? 最悪の場合引退も……

 13日、東京競馬場では共同通信杯(G3)が行われる。3歳クラシック戦線を占う重要な1戦と位置づけられ、東西から有力3歳馬が集った。

 昨年の優勝馬はエフフォーリアだった。同馬は2ヶ月後に皐月賞(G1)を優勝。日本ダービー(G1)は共同通信杯で3着に下したシャフリヤールに惜敗したが、天皇賞・秋(G1)と有馬記念(G1)を連勝し、年度代表馬の座を掴み取った。

 そんなエフフォーリアだが、1歳下にハービンジャー産駒の弟がいたことをご存知だろうか。名はヴァンガーズハート(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)といい、兄が年末のグランプリを制する前日の中山競馬場の新馬戦でデビューした。

 芝1800m戦の3枠6番からスタートした本馬は、4コーナー3番手で直線を迎えると、直線半ばで先頭に立つ。そこから突き抜けると思われたが、ゴール前で遊ぶ面を見せ、後続1頭に交わされてしまった。

横山武史騎手

 その一方で、鞍上の横山武史騎手が数完歩追う動作を緩める騎乗を行った件についてJRAは「この騎乗ぶりは、明確に着順に影響があったとは認められないものの、騎手としての注意義務を怠ったものである」と判断し、開催2日間の騎乗停止処分を下した。

 いわゆる「油断騎乗」で2着に敗戦したため、競馬ファンから横山武騎手に厳しい批判が相次ぐこととなった。翌日の有馬記念の優勝インタビューで、この件について当事者となった横山武騎手から直接の謝罪はあったものの、ヴァンガーズハートは手痛い1敗を喫してしまった。

 本馬はその後、福島県岩瀬郡天栄村のノーザンファーム天栄へ放牧に出され、次走は今月26日から始まる中山開催での復帰が目標。未勝利戦勝利を目指して日々調整されている。

 だが、目先の1勝へ向けてトレーニングを進めている本馬にアクシデントが発生したという。先月下旬から呼吸に荒い面が見られるため、検査を行ったところ喉鳴りであることが判明したようだ。

 喉鳴りは別名「喘鳴症」とも呼ばれる馬の病気の一種。馬は鼻でしか呼吸をしないため、鼻と直結している喉は呼吸をする上で大事な役割を果たしている。それゆえ喉鳴りになると、運動時に充分な呼吸ができず、競走能力に影響を及ぼす。

 手術を行い治療することが一般的だが、手術は必ずしも成功するとは限らない。また、術後からの復帰に時間を要する。最悪の場合、未勝利戦の開催期間内に復帰できないこともあるため、陣営は喉の手術を行わず、3月中にレースへ出走する選択をしたらしい。

「これは大変なことになってしまいましたね……。喉鳴りはダイワメジャーやハーツクライなどの名馬も悩まされた疾患です。

そう考えるとやはり『新馬戦で勝っていれば……』と関係者は後悔しているでしょう。1勝していれば、将来を見据えた手術の選択肢もありましたが、今後を考えるとローテーション的に厳しくなってしまいます。

喉の影響で満足に走れないまま、勝てないようだと、最後の未勝利戦といわれる9月を迎えることも考えられます。今回の選択がどう転ぶかは、神のみぞ知るといったところでしょうか。

最後まで追っていたからといって勝てた保証はありませんが、クラブ馬だけに、出資者の方々からしてみれば、今後の競走生活を左右する一戦だったかもしれませんね」(競馬誌ライター)

 出資者と思われるアカウントからはSNSやネット上の掲示板を通じて「デビュー戦の負けが重くのしかかる」「勝っていたら手術だったのに」と、敗戦を悔やむ声も見掛ける。喉の疾患の事実は受け入れているが、横山武騎手の騎乗ぶりには未だ納得していない意見も少なくない印象だ。

 まずはヴァンガーズハートの喉がこれ以上悪化せず、予定通りに次走を勝利してくれることを祈るばかりだ。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……

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