JRAグランアレグリアにも先着した「幻のG1馬」に不安の声、衝撃の降着騒ぎから2年…… 今回ばかりは見送りが吉?
27日、阪神競馬場では、芝1400mの重賞・阪急杯(G3)が行われる。1か月後に行われる高松宮記念(G1)のステップレースの一つとして位置付けられており、本番を占う上でも重要な一戦だ。
今年のメンバー構成はどうか。先月に3勝クラスを勝ってOP入りを果たしたグレイイングリーンの他、芝1400mで重賞勝ち実績のあるタイセイビジョンやダイアトニックも人気を集めそう。
そしてクリノガウディー(牡6歳、栗東・藤沢則雄厩舎)もまた、大きな注目を集める1頭だ。23日現在、競馬サイト『netkeiba.com』で公開されている単勝予想オッズでは、2番人気となっている。
クリノガウディーと言えば、未だに2年前の高松宮記念の降着騒ぎを思い出すファンも多いのではないだろうか。
阪急杯をステップに出走したのは2020年のこと。重賞勝ちすらなかった馬が、前哨戦を敗れた上に、距離短縮で初スプリントG1ということもあって、15番人気と軽視されたのも無理はない。
だが、蓋を開けてみればびっくりの激走を演じた。先団の好位を追走したクリノガウディーは、直線で出色の切れを見せ、逃げ粘るモズスーパーフレアや、猛然と追い込んだグランアレグリアの追撃を凌いで1位に入線したのだ。
超大穴の大金星かと思われた矢先、審議ランプが10分以上灯った結果、直線で内側に斜行し、上位入線馬の進路を妨害したとして4着降着となってしまった。1着確定とはならなかったものの、先頭でゴールした同馬が「幻のG1馬」と呼ばれるようになった所以である。
今度こそ、忘れ物を取りにいきたいクリノガウディーだが、比較的コース相性のいい中京に対し、近走の重賞レースで二桁着順が続いたように、阪神コースはそれほど得意ではない。
管理する藤沢則雄調教師もレース前に、「目標は先ですが、今年初戦としてはある程度できています」と前哨戦らしいコメントしており、本番を見据えた余裕残しの仕上げのようだ。
何よりも大きな懸念は、付きっ切りで同馬の調教を行っていた岩田康誠騎手ではなく、福永祐一騎手へと乗り替わることだ。
岩田康騎手は、降着騒ぎ以降の成績が低迷していた同馬を「復活」させた功労者ともいえる存在。これまで毎回のようにレース前の調教に騎乗していたにもかかわらず、今回に限って騎乗しないのは引っ掛かる。
怪我から復帰して早々、フェブラリーS(G1)を勝った福永騎手の勢いもあり、大きな割引にはならない可能性もあるが、岩田康騎手だからこそ復活したと考えられる馬。初コンビとなる福永騎手が、必ずしもプラスとなるのかどうかは微妙なところだろう。
(文=大井ふみ)
<著者プロフィール>
競馬にハマって3、4年。周りの女性陣に布教活動を試みるもうまくいかず、おじさんの競馬仲間だけが増えていく。大井競馬場でビール片手にナイター観戦にいそしんでいたが、最近はそれすら叶わず自宅観戦の日々。