JRA【中山牝馬S(G3)展望】M.デムーロVS武豊! 前走“軽ハンデ”で重賞勝利の2頭が急遽「乗り替わり」テルツェットに挑む

 12日、中山競馬場では古馬牝馬によるハンデ戦、中山牝馬S(G3)が行われる。昨年は7番人気のランブリングアレーがこのレースを制し、ヴィクトリアマイル(G1)2着好走につなげた。今年もここをステップにG1戦線に浮上する馬は現れるか。

 武豊騎手が騎乗予定のルビーカサブランカ(牝5歳、栗東・須貝尚介厩舎)が本格化の兆しを見せている。

 2歳上には重賞3勝のユーキャンスマイルがいる良血馬で、兄同様に鋭い切れ味を誇る末脚を武器としている。これまで20戦して「5-4-5-6」という成績だが、掲示板を外したのは1度だけ。ただし、勝ち味には遅く、オープンクラス昇級を決めたのは2走前だった。

 昨年12月に行われたオリオンS(3勝クラス)は、いつも通り後方からの競馬。勝負どころで外を進出していくと、4角で他馬と接触する不利があったが、直線は1頭だけ脚色が違った。大外を豪快に伸びて2着馬に1馬身半差をつける快勝だった。

 そして迎えたのが前走の愛知杯(G3)。52kgという斤量の恩恵もあったが、重賞初挑戦ということで7番人気に甘んじた。いつも通り後方に控えると、今度は最内枠を生かしてインをうまく立ち回った。直線でも内をスルスルと伸び、最後はマリアエレーナをアタマ差で差し切っている。

 重賞初挑戦で見事な勝利に導いた武豊騎手はレース後、「前走から馬は良い状態でしたから道中も行きっぷりが良かった」「ここにきて良さが出てきたので今後が楽しみ」と目下の充実ぶりをアピール。

 重賞2連勝で、春の主役候補に躍り出るか。

 ルビーカサブランカと同様、前走で牝馬限定のハンデ重賞を制したのがM.デムーロ騎手が騎乗するミスニューヨーク(牝5歳、栗東・杉山晴紀厩舎)だ。

 ルビーカサブランカと同世代だが、こちらは8度目の重賞挑戦で待望の勝利を飾った。その前走は中山・芝マイルが舞台のターコイズS(G3)。スタートで遅れて道中は最後方を追走、4角でも後方2番手という厳しい位置にいたが、直線大外一気の追い込みを決めた。

 2度目の騎乗で勝利に導いたM.デムーロ騎手はレース後、「調教でもレースでも半端ない脚を使いますが、今日は思った以上に切れてムチを持ち替える時間もありませんでした。ものすごい伸びでしたね」と同馬の切れ味を絶賛した。

 ただし、この馬もハンデ戦の前走で斤量の恩恵はあった。最軽量タイの53kgが追い風になったのは間違いないだろう。負担重量が増える今回は試金石となりそうだ。

 ルビーカサブランカとの大きな違いは中山コースでの実績だ。ルビーカサブランカは2戦して未勝利だが、ミスニューヨークは4戦3勝。唯一の敗戦が紫苑S(G3)で、小差の5着に好走している。さらに中山1800m戦に限れば、2戦2勝と相性はいい。

テルツェット 競馬つらつらより

 実績では上位のテルツェット(牝5歳、美浦・和田正一郎厩舎)は、2頭の挑戦を受ける立場といえる。もともとC.ルメール騎手が騎乗を予定していたが、サウジアラビア遠征から帰国後に新型コロナの陽性反応が出たため、テン乗りの田辺裕信騎手への乗り替わりとなる。

 昨春はダービー卿CT(G3)を重賞初挑戦で制覇。3番人気で14着に大敗したヴィクトリアマイルを挟んで、函館開催のクイーンS(G3)で重賞2勝目を挙げた。

 秋はぶっつけでエリザベス女王杯(G1)に向かったが、距離も長かったか11着に沈んだ。2度の大敗はいずれもG1レース。それ以外のレースは「6-0-1-0」という高勝率を誇り、牝馬限定のG3戦なら好勝負は必至だろう。

 フェアリーポルカ(牝6歳、栗東・西村真幸厩舎)は、2年前の当レースと福島牝馬S(G3)を連勝した実力の持ち主。昨年も6番人気で出走し、「ハナ+クビ」差の3着に入っている。3年連続の馬券圏内はあるか。

 昨年の当レースで1番人気に支持された良血馬のドナアトラエンテ(牝6歳、美浦・国枝栄厩舎)。1年前は不良馬場に泣き9着に敗れ、続く福島牝馬Sではハナ差の2着と重賞勝利がないまま6歳春を迎えた。クラブの規約通りなら、おそらくこれが引退レースとなる。全姉のジェンティルドンナのように最後のレースで輝きを放てるか。

 この他には昨夏のマーメイドS(G3)覇者シャムロックヒル(牝5歳、栗東・佐々木晶三厩舎)、祖母エアグルーヴ、全妹が昨年のローズS(G2)を制したアンドヴァラナウトという良血ゴルトベルク(牝5歳、美浦・手塚貴久厩舎)、中山重賞2勝の実績があるスマイルカナ(牝5歳、美浦・水野貴広厩舎)なども出走を予定している。

 ハンデ戦らしく荒れる傾向が強いこのレースを制するのは、果たしてどの馬か。発走は12日15時45分となっている。

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