JRA C.ルメール重賞21連敗でも「元通り扱い」は危険!? 権利取れた皐月賞(G1)スルーもイクイノックスは大歓迎、「勝ちに行く」騎乗で完全復活の予感

岩田康誠騎手

 20日、中山競馬場で行われたスプリングS(G2)は、5番人気の伏兵ビーアストニッシドが逃げ切り勝ち。過去、重賞は京都2歳S(G3)2着、シンザン記念(G3)4着、共同通信杯(G3)3着と惜敗を繰り返していたが、これが待望の初制覇となった。

 スタートで躓くシーンもありながら、迷いなく先手を取り切る岩田康誠騎手の好判断も光る快勝だった。前日の若葉S(L)を圧勝したデシエルトも本番で有力視されているが、好走を繰り返しても人気にならない実力馬は、本番の皐月賞(G1)でも穴党から熱い視線を集めそうだ。

 勝利騎手インタビューでの対応に賛否が分かれたとはいえ、土日のメインレースを連勝した岩田康騎手は、これで今年の重賞は早くも3勝。年間を通して2勝に終わった昨年を思うと、3月のこの時期で早くも前年を上回ったのは好調の証ともいえるだろう。

C.ルメール騎手

 これに対し、いまだ長いトンネルから抜け出せないでいるのがC.ルメール騎手だ。

 スプリングSでは2番人気アライバルに騎乗したものの、ビーアストニッシドをハナ差まで追いつめたところでゴール。2着に敗れた。

 この敗戦により、ソーヴァリアントで優勝した昨年のチャレンジC(G3)を最後にJRA重賞はついに21連敗。神騎乗を連発した先月末のサウジカップデーは、別人のような大活躍だったが、日本に帰ってきてまた“元通り”となってしまった。

 その一方で、どちらかというと出たなりのポジションでレースを進め、勝利から遠ざかっていたルメール騎手の騎乗に「変化」が見えていたことも見逃せない。

「8枠12番からスタートしたアライバルを“押して押して”出していき、道中は逃げているビーアストニッシドの直後につける徹底マークしていました。ジオグリフに騎乗した共同通信杯で直接対決をしていた相手だけに、警戒していたのでしょう。

結果こそハナ差で敗れましたが、これは1枠1番の最短距離でハナを奪えた勝ち馬と枠の差。連敗中のルメール騎手に感じなかった気迫のようなものが戻ってきましたね」(競馬記者)

 記者が指摘したように、ルメール騎手もレース後のコメントで「今日はアグレッシブな騎乗」と振り返っている。岩田康騎手が絶好調だったため、結果的に敗れはしたものの、復調を感じられる好騎乗だったのではないか。

 ただ、2着に入って優先出走権を手に入れたアライバルだが、陣営のコメントによると皐月賞出走の見込みは薄そうな雰囲気である。

「エンジンがかかるのに時間が掛かります」というコメントは、4着に敗れた京成杯(G3)と同じ。このとき、「広い競馬場の方がいい」とも触れていただけに、直線の長い東京で開催のNHKマイルC(G1)に向かうプランも視野に入ってくるかもしれない。

 皐月賞には、世代最強馬の呼び声もあるイクイノックスとのコンビで参戦を予定しているルメール騎手の復調気配。クラシック本番を前に、自身もようやくエンジンが掛かり始めたようだ。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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