JRA天皇賞・春(G1)菊花賞馬「実質7連勝」でタイトルホルダーに当確ランプ!? 「一番強い馬」が証明してきた格の違い

タイトルホルダー 撮影:Ruriko.I

 ディープボンドVSタイトルホルダーの二強対決に沸く今年の天皇賞・春(G1)。JRAが誇る最長距離で開催される伝統の一戦だが、場合によっては一波乱も二波乱もありそうな雰囲気だ。

 高松宮記念、大阪杯、桜花賞、皐月賞と4戦を終えた今春のG1は、1番人気のみならず2番人気すら未勝利。「春眠暁を覚えず」ということわざもあるが、上位人気馬が目を覚ますのはいつのタイミングになるだろうか。

 とはいえ、やはり注目が集まるのは人気を分ける2頭であることに変わりはない。予想をする側としては、どちらかを本命に推すか他の選択肢を探すことになる。

 そこで気になる両馬の最も大きな違いは何かを考えた際、決定的な差となり得るのが、クラシックを勝った実績の有無だ。

「一番強い馬」が証明してきた格の違い

 人気の上では昨年の天皇賞・春で2着のディープボンドが優勢ではあるものの、皐月賞10着、日本ダービー5着、菊花賞4着と物足りない成績。対するタイトルホルダーは、皐月賞2着、日本ダービー6着、そして菊花賞優勝と上を行く成績を残した。

 ディープボンドの場合は、無敗で三冠を達成したコントレイルという絶対王者の存在に情状酌量の余地も残るが、それを踏まえてもタイトルホルダー優位は動かないか。

 当然ながらディープボンドが古馬になって見違えるような活躍を見せていることは、強調材料となる。2頭が直接対決した昨年の有馬記念(G1)でもディープボンドは2着に入り、タイトルホルダーは5着に敗れたのだから説得力もある。

 しかし、この一戦のみを参考に2頭の勝負付けが終わったと論じるのは早計だ。8枠16馬の大外枠に入ったタイトルホルダーはロスを避けられない不利な外。ハイペースで逃げたパンサラッサは、その後の中山記念(G2)やドバイターフ(G1)を制した実力の持ち主だった。

 肉を切らせて骨を断つハイラップの逃げで能力を開花させた馬を相手に、ハナを奪うことはそう簡単ではない事情もあった。このときの大本命エフフォーリアは、横山武史騎手が騎乗したが、自身の手で菊花賞馬に導いた元お手馬の力は百も承知。早めにプレッシャーを掛けていく競馬で先行勢に苦しい展開を作り出している。これに対し、3枠5番という好枠を利して、最後の直線だけ外に出すだけで済んだディープボンドは、展開にも恵まれていたともいえそうだ。

 着順の数字だけで判断すると、不利な条件が重なった上で5着に粘ったタイトルホルダーの評価を必要以上に下げてしまうことにも繋がりかねない。

 そこで改めて採り上げたいのは、菊花賞馬であるタイトルホルダーを猛烈に後押しする過去の天皇賞・春の歴史である。

 2015年ゴールドシップから昨年のワールドプレミアまでの7年で菊花賞馬はなんと6勝のハイアベレージ。唯一の例外となる2018年にしても、敗れた訳でもなく不出走だっただけ。しかも勝ち馬は菊花賞2着馬のレインボーラインなのだから、これはもう実質7連勝といってもいいくらいだ。

■近7年の天皇賞・春優勝馬は菊花賞馬祭り
2015年 ゴールドシップ
2016年 キタサンブラック
2017年 キタサンブラック
2018年 レインボーライン(菊花賞2着)
2019年 フィエールマン
2020年 フィエールマン
2021年 ワールドプレミア

 近年は長距離軽視の傾向も相まって、出走するメンバーの顔触れが劇的に変わることもそうはない。

 そういった意味では「一番強い馬が勝つ」といわれる菊花賞馬が伝統の一戦を好走することも必然的な流れといえるのではないか。

 個人的な応援があることは否定できないが、少なくともディープボンドが絶対的に有利かとなると一考の余地が残る結論となった。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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