JRAリーディング「5位→80位」急降下シュネルマイスター&フィエールマン厩舎に「秘密兵器」!? 世界的良血馬がD.レーンを背に初陣Vへ!
先週末の安田記念(G1)でソングラインにクビ差及ばず2着に敗れたシュネルマイスター。同馬を管理するのが通算600勝を誇る手塚貴久調教師だ。
1999年に34歳の若さで美浦に厩舎を開業。1年目から重賞勝利(フェアリーS=ベルグチケット)を飾るなど、着実に実績を積み上げてきた。
G1初制覇は、2011年朝日杯FS(アルフレード)とやや時間を要したが、その後はアユサン、アジアエクスプレス、フィエールマン、シュネルマイスター、ユーバーレーベンがJRA・G1を合計8勝している。
NHKマイルC(G1)とオークス(G1)を制した昨年は自己最多の45勝を挙げ、初めて全国リーディングトップ5入りも果たした手塚師。2月末には藤沢和雄調教師が引退し、関東を背負っていく立場となったが、今年に入ってから成績が伴っていない。
あのフィエールマン厩舎が大苦戦?
競馬界の元日ともいえる今年の「金杯デー」には4頭を出走させ2着1回、3着3回という好スタートを切ったが、勝ち切れなかったところが今年の手塚厩舎を暗示していたのかもしれない。
その後も、勝ち切れないレースが続き、先週末の時点で135戦8勝。藤沢和元調教師が2月末までにマークした9勝にも届かない惨状で、全国リーディングは昨年の5位から80位へと文字通り、急降下……シュネルマイスター、ユーバーレーベン以外にもウインマリリン、アサマノイタズラといった重賞勝ち馬が今年はことごとく苦戦し、波に乗れないまま上半期を終えようとしている。
そんな手塚厩舎にとって救世主となり得る若駒が今週末にデビューするという。
「11日の東京2歳新馬(5R・芝1400m)で、D.レーン騎手を背にデビューするコンエネルジア(牡2歳)という馬です。父はご存じ怪物フランケル。現役時代に14戦14勝(うちG1・10勝)の成績を残し、日本でもソウルスターリングなど3頭のG1ウイナーを輩出しています。母はアメリカでスピナウェイSというダートのG1レースを勝っているレディイヴァンカという馬です。まさに世界的良血馬といっていいでしょう」(競馬誌ライター)
コンエネルジアは調教でもパワフルな動きを披露している。最終追いとなった8日には美浦南Wで6ハロン84秒3-ラスト12秒0をマーク。手塚師は『スポニチ』の取材に、「エンジンがかかってからの反応はいい。現状、東京の長い直線が合うと思う」とコメントしており、初戦から陣営の期待は大きい。
また、フランケル産駒らしい筋肉量豊富な雄大な馬体の評価も非常に高い。『POGの達人』(光文社)では、競馬予想家の辻三蔵氏が「500kgを超す好馬体が目をひく俊才」と同馬を高く評価。オススメ10頭の1頭に名前を挙げている。
先月14日に通算600勝を挙げ、それ以降は24連敗中と今年9勝目が遠い手塚厩舎。窮地を救うのはコンエネルジアしかいないだろう。初戦からその走りに注目したい。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。