JRA世紀の「ワガママ娘」が遂げた史上2頭目の快挙!牡馬顔負けの3連勝、グランプリで躍動する乙女たち…「強い牝馬」の時代はここから始まった!

 26日、阪神競馬場で行われる宝塚記念(G1)。春のG1戦線を締めくくるグランプリに今年は例年以上の豪華メンバーが集結した。

 1番人気を争うエフフォーリアやタイトルホルダーに注目が集まっているが、宝塚記念において忘れてはいけないのが牝馬の活躍である。近3年の宝塚記念は牝馬が3連勝中、19年にはリスグラシュー、20年・21年にはクロノジェネシスが連覇を達成している。

 この他にも15年には10番人気デニムアンドルビーと11番人気ショウナンパンドラがそれぞれ2、3着に好走。16年には8番人気のマリアライトが勝利するなど、近年の宝塚記念では牝馬が優勢だ。近10年でのべ24頭が出走しているが、複勝率は41.7%、複勝回収率は192%にも及んでおり、データにも顕著に表れている。

 宝塚記念に限らず、近年は牡馬混合のG1レースで牝馬の好走はもはや珍しいことではない。牡馬と互角どころかアーモンドアイを筆頭とした“牡馬顔負け”の成績を残してきた馬も登場している。

「強い牝馬」の時代はここから始まった!

 近年の競馬界はまさしく「強い牝馬」の時代。この扉を切り開いたといえるレースこそが、スイープトウショウが制した2005年の宝塚記念であった。

 この年の宝塚記念はタップダンスシチー、ゼンノロブロイが “古馬二強”として注目を集めていた。この2頭への支持は圧倒的なものであり、3番人気のハーツクライですら単勝オッズは18.3倍もついた程だった。

 一方のスイープトウショウは前走の安田記念(G1)で2着に好走していたものの、11番人気とほぼノーマークに近い評価。まともに調教するのも一苦労、頑なにゲートインを拒み、出遅れは当たり前…まさに「ワガママ娘」というべき癖の強さが既に知れ渡っていたスイープトウショウ。その末脚は一級品だが、「後方一気で牡馬の一線級が相手では…」そんな世間の評価がオッズにも表れていた。

 しかしこの日のスイープトウショウは一味違った。ゲートを嫌がることも無く、いざスタートを切るとスムーズに中団の位置を確保。4角では馬なりのまま外から進出を開始し、直線に入ると一瞬のうちに先頭に躍り出た。そのまま先頭を譲ることはなく、最後はハーツクライの猛追をクビ差で凌ぎ切り勝利してみせたのだ。

 このスイープトウショウの勝利は、牝馬としては実に39年ぶり史上2頭目の快挙。1966年にエイトクラウンが勝利した際は8頭立てであったことを踏まえれば、牡馬の一線級を真っ向勝負で打ち破ったのはスイープトウショウが初めてともいえるだろう。

 かつては古馬混合、ましてや中距離のG1では牝馬は中々通用しなかった時代であった。しかしこの勝利を皮切りに、直後の天皇賞・秋でヘヴンリーロマンスが勝利。その後はウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタなど、数々の名牝たちが2000年代を彩る活躍を見せた。

 現在まで続く「強い牝馬」時代の扉を開いたスイープトウショウ。今年は無敗の三冠牝馬デアリングタクトを筆頭に3頭の牝馬が出走予定だ。今年も牝馬が牡馬顔負けの走りを見せるのか、強く速く美しい乙女たちの走りに注目したい。

(文=エビせんべい佐藤)

<著者プロフィール>

 98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。

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