藤田菜七子に軍配!? 穴党垂涎の「特注」騎手に注目
重賞の舞台でついに話題の女性騎手対決が実現する。
今週31日に新潟競馬場で開催されるアイビスサマーダッシュ(G3)には、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで注目を集めるルーキー・今村聖奈騎手と色々な意味で注目を集めた藤田菜七子騎手が同じレースで騎乗を予定している。
今村騎手はオヌシナニモノ、藤田騎手はスティクスとのコンビ。外枠が有利とされる新潟千直のレースでそれぞれの枠順も結果に大きく影響しそうだ。
『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズでは、26日現在で千直を2戦2勝のマリアズハートが1番人気の想定。オヌシナニモノは4番人気、スティクスは10番人気となっている。それぞれの騎乗馬の人気については、今村騎手が一歩リードといったところだろうか。
その一方、今年3月にデビューしたばかりの新人と7年目の藤田騎手を比較するのも少々失礼な話かもしれない。
何しろ新潟競馬場は藤田騎手の勝利数の大半を占めるホームのような場所。対する今村騎手も新潟を得意としているだけに侮れないとはいえ、千直に関しては一度だけ騎乗して3着があるのみ。少なくともコース経験においては藤田騎手に一日の長がある。
実際、千直の藤田騎手は数字を見ても千直巧者といえる成績の持ち主なのだ。彼女がデビューした2016年から先週の開催が終了した時点で新潟千直の勝利数はトップ。これは全騎手通じての成績なのだから、いかに千直を得意にしているかが分かる。以下はその成績である。
■2016年から先週の開催終了時点の成績(新潟芝1000m)
1位 藤田菜七子 10.5.3. 80/ 98、勝率10.2%
2位 西田雄一郎 9.4.10. 83/106、勝率8.5%
3位 津村明秀 8.10.6.63/ 87、勝率9.2%
かつて千直の申し子といわれた西田雄一郎騎手や村田一誠騎手はすでに現役を引退して現在は調教師へと転身。彼らの跡を継いで首位に立った藤田騎手なら千直女王と呼んでも差し支えがないくらいだろう。
また、今年のアイビスサマーダッシュ出走馬に騎乗を予定している騎手で、藤田騎手と同じく千直が得意な騎手についても確認できたので追記しておきたい。
その顔触れは7勝の嶋田純次騎手、6勝の杉原誠人騎手と菊沢一樹騎手である。こういっては失礼だが、騎乗馬に恵まれない中で好成績を残していることは、腕で持ってきたという見方も可能だ。
菊沢騎手のマリアズハートは人気濃厚も、嶋田騎手のジュニパーベリーや杉原騎手のビリーバーはどちらも二桁人気の想定でノーマークに近い存在。まだ気が早いが、馬券を購入する際に一考の余地があるだろう。
世間の話題は「女の対決」で盛り上がっているものの、本命党には菊沢騎手のマリアズハートの信頼感が頼もしい一戦。穴党にとっては嶋田騎手のジュニパーベリー、杉原騎手のビリーバーが馬券に絡んでくるようなら、もしかすると垂涎の高配当をもたらしてくれるかもしれない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。