今村聖奈、藤田菜七子の対決より気になる海外の刺客
今週から新潟開催がスタート。31日には、新潟夏の風物詩でもある千直重賞のアイビスSD(G3)が行われる。
そんななか大きな話題となっているのが、重賞では初となる今村聖奈と藤田菜七子の女性騎手対決だろう。
今村騎手は現在21勝と新人騎手のなかでは突出した快進撃を続けているルーキーの注目株だ。重賞初騎乗となった3日のCBC賞(G3)でもテイエムスパーダをレコード勝ちに導くなど、その勢いは凄まじいものがある。
一方の藤田騎手も、先輩女性騎手として意地を見せるには打ってつけの舞台かもしれない。今期はわずか4勝の不調に陥っているが、新潟は全143勝のうち63勝を挙げている得意舞台なだけに、経験の差を見せつけたいところだろう。
気になる海外の刺客
そんな女性騎手同士の対決が注目される一方で、見慣れない騎手の名前が想定に入っていることに気付いたファンも少なくないはずだ。それは今週から日本で騎乗予定のC.ホー騎手のことである。
ホー騎手は、日本のファンも一度は聞いたことがあろう香港の名馬ゴールデンシックスティとのコンビでG1を6勝した名手。昨年は日本馬のラヴズオンリーユーがクイーンエリザベス2世C(G1)に出走した際にも、とても初騎乗とは思えない見事な手綱捌きで勝利に導いている。
ホー騎手は近年の香港でメキメキと頭角を現してきた。日本でも騎乗経験のあるZ.パートン騎手やJ.モレイラ騎手ら香港トップジョッキー達の次世代を担うホープ的存在ともいえるだろう。
過去には2012年にパートン騎手、2015年にモレイラ騎手が、日本で開催されたWASJ(ワールドオールスタージョッキーズ・旧WSJS)を制覇しているように、香港騎手が日本でも存在感を発揮。モレイラ騎手については、2018年の下半期はほとんど日本で騎乗し計76勝を挙げ、リスグラシューとのコンビでエリザベス女王杯(G1)を制するなど日本の競馬ファンの信頼も厚い。
そんな香港騎手らの日本での活躍もあって、ホー騎手への期待も当然高まるはず。ロードカナロアを育てた名トレーナー安田隆行調教師が身元引受調教師となることもあって、これから多くの有力馬を任される機会もありそうだ。
手始めにアイビスSDが日本の重賞初騎乗となるわけだが、騎乗を予定しているアヌラーダプラ(牝5、美浦・萩原清厩舎)も、名刺代わりの重賞勝利を狙うには打ってつけのパートナーといえるかもしれない。
同馬はデビューから2連勝を挙げ、3歳春の重賞・フェアリーS(G3)で1番人気に支持された逸材。残念ながらクラシック出走は叶わなかったが、その後は自己条件で順調に勝ち上がり、今年に至っては船橋S(3勝クラス)とUHB賞(OP)を連勝中と勢いがある。
主戦の横山武史騎手が札幌に滞在しているため、ホー騎手にチャンスが巡ってきたという見方もできるかもしれないが、同騎手を高く評価していると噂されるノーザンファームの生産馬だけに、既定路線だった可能性もある。27日現在、『netkeiba.com』の予想オッズでは8番人気想定ではあるものの、抜けた馬のいない今年のメンバー構成なら、乗り方次第で勝算もあるはず。
今村騎手と藤田騎手の女性騎手対決に注目が集まるが、海外からやって来た刺客も決して侮れない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?