天敵「不在」で大躍進!空き巣の札幌で2回に1回馬券になった男の正念場

横山和生騎手

 21日に今夏最大の注目を集める札幌記念(G2)を控えている札幌開催。近2年はC.ルメール騎手と横山武史騎手が熾烈なリーディング争いを繰り広げていた。

 しかし、今年はルメール騎手が母国に里帰りし、横山武騎手はシャーガーカップ参戦のため、8月2日から8月8日までイギリスに遠征で中抜け。2強を欠いた今年の札幌は、例年とは異なる混戦状態だった。

 クイーンS(G3)を制した池添謙一騎手が、札幌男として存在感を発揮したものの、現在のリーディングを争っているのは、横山和生騎手と鮫島克駿騎手だ。全国リーディングでも10位と11位の2人だが、北の大地でもライバルとなっている。

天敵「不在」で大躍進!

 函館開催こそ横山武騎手のリーディング独走を許した横山和騎手だが、舞台が札幌に替わってから躍進。8月1週目までの3位から、トップの弟と2位の鮫島駿騎手を交わして先頭を奪った。

 特に顕著な活躍だったのは6日土曜だ。この日は最終を除く11鞍に騎乗して【2.5.1.3/11】の好成績。2着の数こそ多いが、7番人気の穴馬での勝利や2着も含まれていたように、レース展開や進路取りが冴えに冴えた。他の騎手に比して札幌コースの馬場状態や傾向を掴んだことが、功を奏したのだろう。

 この日の勝率18.2%、連対率63.6%、複勝率72.7%の数字は文句なしだ。少なくとも6日の札幌で横山和騎手の馬券を購入していれば、7割方馬券に絡んだ計算。夏の札幌トータルでも勝率15.7%、連対率35.3%、複勝率49.0%なのだから、2回に1回は馬券になっていたのだ。

 その一方、“鬼の居ぬ間になんとやら”の状況だった横山和騎手にとって最大の難題は、天敵2人が復帰することである。

C.ルメール騎手

 今週末は新潟で騎乗予定のルメール騎手だが、札幌記念でグローリーヴェイズと新コンビを結成。横山武騎手は札幌で平常運転が濃厚のため、勝ち負けを期待できる騎乗馬の確保が困難となることは間違いない。

「横山和騎手も函館こそ不調でしたが、同じ北海道開催の札幌では非常に乗れている印象です。道中の位置取りや仕掛けのタイミングも素晴らしく、函館のイメージとは一変しました。

問題なのはやはり馬質ですね。ルメール騎手や横山武騎手に引けを取らない騎乗をしているのは間違いないのですが、彼らの復帰に合わせて出走を先延ばしにしていた有力馬の陣営もいるでしょうから」(競馬記者)

 苦戦は免れない横山和騎手だが、強敵相手に札幌リーディングの防衛に成功するようなら、自身にとって大きな自信となる。

 正念場を迎えた今週末。“空き巣”に近い状況で手に入れた砂上の楼閣といわれないためにも、意地を見せたいところだ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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