ジャパンC「逃亡」デアリングタクトに不穏な前兆…女王復活に欠かせないものとは

デアリングタクト 撮影:Ruriko.I

 G1中休みとなった先週末の開催が終わり、今週から年末まで8週連続のG1開催が待ち受ける。その一発目となるのが、13日に阪神競馬場で行われるエリザベス女王杯(G1)である。

 二冠牝馬スターズオンアースの故障による戦線離脱は残念だが、秋華賞(G1)で同馬の三冠を阻止したスタニングローズに加え、外国馬マジカルラグーンも参戦。なかなかの好メンバーが集まったといえるだろう。

 しかし、2年前に無敗で牝馬三冠を達成したデアリングタクト(牝5、栗東・杉山晴紀厩舎)が出走を予定していることには少々驚かされた。

 デビューから無敗の5連勝で勝利を飾った2020年の秋華賞を最後に勝利から遠ざかっているとはいえ、現役トップクラスの実力はまだまだ健在。右前の繋靱帯炎で1年1か月ぶりの復帰戦となったヴィクトリアマイル(G1)こそ6着に敗れたが、復帰2戦目の宝塚記念(G1)で3着に入り、復調を感じられたばかり。

 9月のオールカマー(G2)で6着と不覚を取ったものの、この時の中山開催はスプリンターズS(G1)で騎乗した騎手から外が不利過ぎると不満も出ていた馬場状態だった。

 内を突いたジェラルディーナに対し、後方から外を回したデアリングタクトが後れを取ったとしても、そこまで悲観する内容だったのかといわれると、情状酌量の余地は残されていたはずだ。

 にもかかわらず、3歳時にアーモンドアイやコントレイル相手に3着と善戦したジャパンC(G1)ではなく、牝馬限定のエリザベス女王杯を選択した陣営が弱気に映ったのは気のせいだろうか。

ジャパンC「逃亡」デアリングタクトに不穏な前兆…

 デアリングタクトが所属するノルマンディーTRを率いる岡田牧雄代表はかつて「デアリングタクトはファンが望むような馬と対戦させたい」と話していた人物。エリザベス女王杯も楽しみにしているファンは勿論多いだろうが、万全の状態ならジャパンCへの出走を視野に入れていたのではないかという疑問は残った。

 また、岡田代表は『デイリースポーツ』の取材に「オールカマーでいい結果が出ればジャパンCへ。また、もう一つG1を獲らせたいので、エリザベス女王杯も考えています。後者の場合は暮れの香港に遠征したいですね。香港でリベンジしたい気持ちもあります」とも答えていたことも事実である。

 この言葉の通り、オールカマーで敗れた結果、ジャパンCではなくエリザベス女王杯が選ばれた訳だが、闘争心や競走能力の衰えすら考えられるかもしれない。

 オールカマー敗戦後に松山弘平騎手から「ここは楽に勝ち負けしたかったのですが、最後は前を交わすのがやっと」と振り返り、杉山調教師も「上がっていく時に、いつもの感じとは違いました。良い時は騎手が手を焼くほどの馬なのに」とコメントをしていたのは気になった。

 どちらにも共通して言えることは、好調時に見せている「らしさがなかった」という点だ。

 一部で噂されていたエピファネイア産駒の早熟説については、イズジョーノキセキが府中牝馬S(G2)を制したことで小康状態となったが、デアリングタクトもこれに続いて父の名誉を守ることができるだろうか。

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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