三浦皇成「悲願達成」は茨の道!? 夏のマイル王が大舞台で「死屍累々」の過去
白毛馬・ソダシやシュネルマイスターらを筆頭に、マイル路線の錚々たるメンバーが揃った今年のマイルCS(G1)。
当然ながらこれまでのG1戦線を賑わせてきた面々が話題の中心となっているが、そこに虎視眈々とチャンスを伺っているのがウインカーネリアン(牡5歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)だ。
ウインカーネリアンは5月の谷川岳S(L)でOP初勝利を挙げると、米子S(L)、関屋記念(G3)と破竹の3連勝で一気に重賞ウィナーにまで上り詰めた。この2戦の勝利からサマーマイルチャンピオンの座にも輝き、今回は勢いそのままに真のマイル王の座を狙うこととなる。
鞍上の三浦皇成騎手にとっても、キャリア15年目にして悲願の中央G1タイトルを獲得すべく力の入る一戦となる。今秋はダンシングプリンスでJBCスプリント(G1)を制し、先週にはギルデッドミラーで武蔵野S(G3)を勝利するなど、大舞台で確かな存在感を放っている。まさしく絶好調というべき、勢いに乗る人馬によるG1制覇には期待をしたいところである。
だがその一方で、ウインカーネリアンは夏の関屋記念からの直行でマイルCSへと参戦してきたために、マイル路線の超一線級を相手に戦うのは初めてである点は気がかりだ。
力関係は未知数といえるが、過去のサマーマイルチャンピオンたちのその後を見る限りではウインカーネリアンの実力にも不安を抱いてしまう。
夏のマイル王が大舞台で「死屍累々」の過去
昨年以前にサマーマイルシリーズを制した馬は同率優勝を含めて8頭いるが、その中で後にG1タイトルを掴んだ馬は1頭もいない。それどころか、マイルG1で馬券圏内に食い込んだのも、14年覇者のクラレントが翌15年の安田記念(G1)で3着に食い込んだ1例に留まっている。
ちなみにサマースプリントシリーズからは、後にスプリンターズS(G1)を制したタワーオブロンドンや、2度2着したハクサンムーンなど、1200mのG1で通用する馬が度々輩出されている。それとは対照的にマイル路線では、サマーシリーズの覇者がG1ではほとんど通用していない。
春にG1戦線を戦うような面々の多くは夏の期間を休養に充てており、サマーシリーズのレベルは春や秋のレースと比べて落ちてしまう面は否めない。まして短距離から中距離の雄が集結するマイル路線は層が厚く、尚のことサマーシリーズと春秋の重賞戦線とのレースレベルの違いが顕著に表れているのかもしれない。
過去のサマーマイルチャンピオンたちの振るわない戦績を見る限りでは、ウインカーネリアンにも一抹の不安を抱かずにはいられない。
登り龍の如き人馬は勢いそのままに、過去のジンクスと共に歴戦の猛者を振り切ることができるだろうか。サマーマイルチャンピオンからG1ホースへと駆け上がるべく闘志を燃やす、三浦騎手とウインカーネリアンの走りに注目したい。