C.デムーロ5年ぶり「珍事」に恨み節!? 痛恨の騎乗停止もJCシャフリヤールはセーフ

19日、阪神10Rの尼崎S(3勝クラス・芝2400m)は2番人気のインプレスが勝利。4角最後方から大外一気の差し切りを決め、阪神芝2400mでは3戦3勝とした。
一方、1番人気のレッドヴェロシティ(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)は3着まで。同馬は最後の直線で外側に斜行し、ロードプレジール、マイネルコロンブスの進路を妨害。鞍上のC.デムーロ騎手は12月3、4日の開催2日間の騎乗停止処分を受けることとなった。
レース後の談話でC.デムーロ騎手は「スローペースだったので、最後の直線でスペースが無くて、他馬に迷惑をかけることになってしまった。直線もしっかり伸びているだけに、スローペースが痛かったです」とコメント。2度触れるほどに「スローペース」が痛恨だったようだ。
JRAの公式ホームページで裁決パトロールを確認すると、残り200mで加害馬のレッドヴェロシティが鋭く外に切れ込んでいる。被害馬のうち、ロードプレジールの坂井瑠星騎手は強く手綱を引く場面もあり、一歩間違えれば落馬に繋がりかねない危険なシーンだった。
そんなC.デムーロ騎手の斜行を正当化することはできないが、本人もコメントしていたように異例なスローペースがこの一件を誘発したのかもしれない。
スタート直後、先行争いは好発を決めたシロニイ、タイセイモナーク、ロードプレジールの3頭に絞られた。逃げると思われていたタイセイモナークが早々に引き、ロードプレジールも鞍上が抑えたことで、この争いは早々に決着。
押し出されるようにハナへ立ったシロニイは、キャリア43戦目で2度目の逃げ。レース後、鞍上の松若風馬騎手が「いいリズムで逃げられ、ペースも落とせました」と振り返った“超スロー逃げ”は1000mを64.2秒で通過する。
レース前半の6ハロン中5ハロンが13秒台という、古馬からすると歩いているようなペースになり馬群は徐々に凝縮。直線ではレッドヴェロシティ以外にも進路を失った馬の姿が見られた。
「勝ったインプレスの鮫島克駿騎手も『スローだったので誰か動いてほしいと思っていた』と話していましたが、C.デムーロ騎手に限らず、スローペースに言及した騎手は多かったですね。それもそのはず、良馬場で行われた3勝クラスの芝2400m戦で、1000m通過が64秒を超えたのは2017年12月9日のオリオンS以来、約5年ぶりでした。
12頭の出走メンバーは差し馬中心で、前走に逃げた馬はタイセイモナークしかいませんでした。同馬が早々に逃げない意思表示をしたことも、想定以上のスローペースに繋がりましたね」(競馬記者)
限られた日本での騎乗機会の中で、5年ぶりの珍事に遭遇してしまったC.デムーロ騎手。レース後はスローペースへの恨み節が出たが、自らの腕で危険騎乗は回避してほしかったところである。
今回の処分によりC.デムーロ騎手はチャンピオンズカップ(G1)週の騎乗がアウトに。騎乗予定だったバーデンヴァイラーや、前日に行われるチャレンジC(G3)へ出走するヒンドゥタイムズとのコンビ結成は叶わなくなった。
来日後わずか4週で、エリザベス女王杯(G1)を含む12勝(19日終了時点)を挙げているC.デムーロ騎手。ここまでは順風満帆に見えたが、好事魔多しとはよく言ったものか。
JRAでは2020年に、騎乗停止処分の開始時期を当該騎乗の翌節から翌々節に変更している。これは主に不服申し立てに対応する時間を確保するためや規則の国際調和という観点からであるが、この改定に救われて今週のジャパンカップ(G1)は騎乗することが可能だ。
人気の中心と目されるシャフリヤールで参戦を予定していただけに、命拾いした形となったC.デムーロ騎手。しっかりと反省し、残りの騎乗機会は“clean.デムーロ”なライディングを期待したい。
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