デアリングタクト「復活の鍵」は鞍上!? ジャパンCで屈辱の福永祐一もサインか
今年のジャパンC(G1)は、4頭の外国馬が出走予定ということで、戦前から様々な話題を呼んでいる。一方でそれ以上に注目を集めているのが、三冠牝馬・デアリングタクト(牝5、栗東・杉山晴紀厩舎)の参戦ではないだろうか。
6着に敗れた前走のエリザベス女王杯(G1)はレース直前まで降り注いだ豪雨の影響で、相当にタフな馬場での一戦。加えてデアリングタクトは2枠4番と内枠に入ったことも相まって、荒れた馬場の内側を走らされる不運もあった。レース内容を考えれば、馬体への負担も小さくなかったはずであり、そこから「中1週」で転戦という強行軍に驚かされた。
「復活の鍵」は鞍上!?
だがその臨戦過程以上に衝撃的だったのは、鞍上が短期免許で来日中のT.マーカンド騎手へとスイッチすることだ。デアリングタクトはデビュー以来一貫して松山弘平騎手が手綱を握っており、無敗で制した牝馬三冠の栄光もこのコンビで掴んだものである。
ジャパンCへ向けては急遽の参戦となり、「松山騎手の確保が難しかったのでは」と噂されたが、松山騎手はシャドウディーヴァとのコンビでジャパンCに騎乗することが明らかになった。乗り替わった理由の真相は定かではないが、陣営の思い切った決断は吉と出るか凶と出るか。
デアリングタクトと松山騎手のコンビ解散を惜しむファンも多い一方で、一部では来日してコンスタントに結果を残しているマーカンド騎手に期待する声もある。
それを後押しすることになるかもしれないのが、デアリングタクトの父エピファネイアが優勝した2014年のジャパンCと状況が似ているからに他ならない。
当時のエピファネイアは、福永祐一騎手が主戦を任されていたものの、前進気勢の激しさもあり、折り合いに苦労するシーンを目にすることも少なくなかった。前走の天皇賞・秋(G1)でもコンビを組んでいたが、出遅れも響いて6着に敗戦。ジャパンCには、もう1頭のお手馬であるジャスタウェイも参戦を予定しており、福永騎手はこちらに騎乗することとなった。
勿論、エピファネイアを菊花賞(G1)制覇に導いた福永騎手の評価は高く、本音としては体が2つ欲しいところだったかもしれない。
だが、現実は福永騎手にとって、あまりにも厳しいものだった。
結果的にジャスタウェイを選んだ格好となった福永騎手もジャスタウェイで2着に入ったのだが、その遥か4馬身前方でゴール板を駆け抜けたのは、C.スミヨン騎手が騎乗したエピファネイア。しかも自身が折り合いに苦労したパートナーを初騎乗の外国人騎手が見事に乗りこなしての圧勝に心中は複雑だったはずである。
ネットの掲示板にはスミヨン騎手の好騎乗を絶賛する声が溢れ、まるで別馬のような走りを披露したエピファネイアに完敗した福永騎手としては立つ瀬がなかっただろう。結局、その後も福永騎手との再コンビがないまま、かつてのお手馬は引退して種牡馬入りすることとなる。
そして、父と同じくジャパンCで主戦騎手が乗り替わるデアリングタクトも、3歳で活躍して古馬になって低迷する姿は、かつての父に重なる部分もある。そういう意味では、必ずしもこの乗り替わりがマイナスとは言い切れないかもしれない。