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B.ムルザバエフ「実質1ヶ月」でG1初勝利のミラクル、若手のチャンスを奪っても「15年未勝利」の三浦皇成、両者に訪れた天国と地獄

B.ムルザバエフ「実質1ヶ月」でG1初勝利のミラクル、若手のチャンスを奪っても「15年未勝利」の三浦皇成、両者に訪れた天国と地獄     28日に中山競馬場で行われたホープフルS(G1)は、14番人気のドゥラエレーデが勝利する波乱の決着。上位人気が揃って馬券圏外に敗れたこともあり、3連単「246万馬券」が飛び出す大荒れとなった。  ほぼノーマークだった超人気薄で挙げた大金星に、「日本で初めてG1を勝てて、非常に嬉しい気持ち」と喜びを口にしたB.ムルザバエフ騎手。日本でのG1騎乗は先月のジャパンC(G1)が初めてで、今回が2度目。2週前に短期免許を取得したばかりで、早速JRAのG1初勝利を決めてしまうあたり、3年連続ドイツリーディングの腕っぷしは伊達ではなかったようだ。  中山での騎乗さえ初めてだったドイツの名手は、2番手から進める競馬でパートナーをエスコート。大ベテラン横山典弘騎手とトップナイフが作り出した絶妙なスローペースの逃げに動けない馬も多かったが、積極的なポジション取りを生かし、ゴール寸前でハナ差だけ捕まえることに成功した。   一方、そんなムルザバエフ騎手と同じG1初制覇が懸かりながらも、思わぬ惨敗を喫してしまったのが、4番人気ガストリック(牡2、美浦・上原博之厩舎)に騎乗して16着に敗れた三浦皇成騎手だ。  レース後には「ゲートは出ましたが、その後のスピードの乗りがもうひとつ。中山でうまくリズムを取れなかったのか、3角手前で手が動いてしまいました」と敗戦を振り返った三浦騎手。前走と同じく後方からの競馬に徹し、最後の直線では大外に持ち出したものの、いつもの鋭い末脚は影を潜めた。  「三浦騎手にとってはG1初制覇の絶好のチャンスだっただけに、残念な結果となってしまいましたね。後方から追い込んだC.ルメール騎手のキングズレインが3着に入ったことを思えば、展開に泣いたというよりも、本来の実力を発揮できないままレースを終えた印象です。  左回りで直線の長い東京で連勝していた馬だけに、右回りで小回りの中山コースで馬が戸惑った可能性もありそうです。いかにも不完全燃焼といった感じでした。乗り方で結果が変わったとも思えない凡走だっただけに、三浦騎手の騎乗を責める訳にもいきませんね」(競馬誌ライター)   とはいえ、ガストリックと初G1勝利に挑んだ三浦騎手は、絶対に負けたくないという想いが、いつも以上に強かったはずだ。というのも、ガストリックとデビュー戦を飾った永野猛蔵騎手からバトンを受け継ぐ格好で、三浦騎手へ乗り替わりとなった経緯があったからだ。  競馬ライターの平松さとしさんの記事によると、2戦目の東京スポーツ杯2歳S(G2)で降板が決まった際、永野騎手は「悔しかったです。正直『勝ったのに、なんで乗せてもらえないの?』とも思いました」と語っていたほどである。結果的に後輩騎手のチャンスを奪うような形でのコンビ結成だったため、三浦騎手にとっては痛恨の敗戦だったに違いない。   ただ、ルーキーイヤーに武豊騎手が持つ新人最多勝記録を更新するなど、華やかなデビューを飾った三浦騎手だが、キャリア15年目にしてJRA・G1を未勝利なのは有名な話。108連敗というありがたくない成績に終止符を打ちたかったはずだ。   また、ガストリックを所有するノースヒルズ代表の前田幸治オーナーに対しても申し訳ない気持ちがあるだろう。  前田幸オーナーといえば、かつて低迷していた武豊騎手の復活のキッカケとなったキズナや、福永祐一騎手を三冠ジョッキーにしたコントレイルを所有した前田晋二氏の兄にあたり、兄弟揃って人情味溢れるオーナーとして有名。今回は三浦騎手を「漢」にするべく、期待馬の鞍上を任せてくれたのかもしれないが、期待に応えることは出来なかった。   ムルザバエフ騎手がわずか2度目のG1騎乗で初勝利をモノにした一方で、JRAのG1連敗記録を「109」にしてしまった三浦騎手の構図はまるで天国と地獄のよう。来年こそ、悲願達成のシーンは訪れるだろうか。の画像1

 28日に中山競馬場で行われたホープフルS(G1)は、14番人気のドゥラエレーデが勝利する波乱の決着。上位人気が揃って馬券圏外に敗れたこともあり、3連単「246万馬券」が飛び出す大荒れとなった。

 ほぼノーマークだった超人気薄で挙げた大金星に、「日本で初めてG1を勝てて、非常に嬉しい気持ち」と喜びを口にしたB.ムルザバエフ騎手。日本でのG1騎乗は先月のジャパンC(G1)が初めてで、今回が2度目。2週前に短期免許を取得したばかりで、早速JRAのG1初勝利を決めてしまうあたり、3年連続ドイツリーディングの腕っぷしは伊達ではなかったようだ。

 中山での騎乗さえ初めてだったドイツの名手は、2番手から進める競馬でパートナーをエスコート。大ベテラン横山典弘騎手とトップナイフが作り出した絶妙なスローペースの逃げに動けない馬も多かったが、積極的なポジション取りを生かし、ゴール寸前でハナ差だけ捕まえることに成功した。

若手のチャンスを奪っても「15年未勝利」の三浦皇成…

 一方、そんなムルザバエフ騎手と同じG1初制覇が懸かりながらも、思わぬ惨敗を喫してしまったのが、4番人気ガストリック(牡2、美浦・上原博之厩舎)に騎乗して16着に敗れた三浦皇成騎手だ。

 レース後には「ゲートは出ましたが、その後のスピードの乗りがもうひとつ。中山でうまくリズムを取れなかったのか、3角手前で手が動いてしまいました」と敗戦を振り返った三浦騎手。前走と同じく後方からの競馬に徹し、最後の直線では大外に持ち出したものの、いつもの鋭い末脚は影を潜めた。

「三浦騎手にとってはG1初制覇の絶好のチャンスだっただけに、残念な結果となってしまいましたね。後方から追い込んだC.ルメール騎手のキングズレインが3着に入ったことを思えば、展開に泣いたというよりも、本来の実力を発揮できないままレースを終えた印象です。

左回りで直線の長い東京で連勝していた馬だけに、右回りで小回りの中山コースで馬が戸惑った可能性もありそうです。いかにも不完全燃焼といった感じでした。乗り方で結果が変わったとも思えない凡走だっただけに、三浦騎手の騎乗を責める訳にもいきませんね」(競馬誌ライター)

 とはいえ、ガストリックと初G1勝利に挑んだ三浦騎手は、絶対に負けたくないという想いが、いつも以上に強かったはずだ。というのも、ガストリックとデビュー戦を飾った永野猛蔵騎手からバトンを受け継ぐ格好で、三浦騎手へ乗り替わりとなった経緯があったからだ。

 競馬ライターの平松さとしさんの記事によると、2戦目の東京スポーツ杯2歳S(G2)で降板が決まった際、永野騎手は「悔しかったです。正直『勝ったのに、なんで乗せてもらえないの?』とも思いました」と語っていたほどである。結果的に後輩騎手のチャンスを奪うような形でのコンビ結成だったため、三浦騎手にとっては痛恨の敗戦だったに違いない。

 ただ、ルーキーイヤーに武豊騎手が持つ新人最多勝記録を更新するなど、華やかなデビューを飾った三浦騎手だが、キャリア15年目にしてJRA・G1を未勝利なのは有名な話。108連敗というありがたくない成績に終止符を打ちたかったはずだ。

 また、ガストリックを所有するノースヒルズ代表の前田幸治オーナーに対しても申し訳ない気持ちがあるだろう。

 前田幸オーナーといえば、かつて低迷していた武豊騎手の復活のキッカケとなったキズナや、福永祐一騎手を三冠ジョッキーにしたコントレイルを所有した前田晋二氏の兄にあたり、兄弟揃って人情味溢れるオーナーとして有名。今回は三浦騎手を「漢」にするべく、期待馬の鞍上を任せてくれたのかもしれないが、期待に応えることは出来なかった。

 ムルザバエフ騎手がわずか2度目のG1騎乗で初勝利をモノにした一方で、JRAのG1連敗記録を「109」にしてしまった三浦騎手の構図はまるで天国と地獄のよう。来年こそ、悲願達成のシーンは訪れるだろうか。

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